羊水検査は、ほぼ100%の精度で赤ちゃんの先天異常の有無を判定することができる出生前診断(出生前検査、出生前遺伝学的検査)です。
羊水検査を受診する理由は「35歳以上の高齢出産だとダウン症の可能性が高いと聞き、自分の子どもが心配だから。」
「不妊治療の末やっと授かった子どもなので、事前に子どもの状態を知り、適切な対応をしたい。」「妊婦健診の際に染色体異常を指摘されて不安だから。」など妊婦さんによって様々です。
このコラムでは、いつから検査を受けられるの?検査結果はいつまでに出るの?またいつまでに予約をすれば間に合うの?
非確定検査を受けた後でも羊水検査は間に合う?など、羊水検査の時期に関する悩みを解決していきます。ぜひ、最後までご覧ください。
羊水検査の基本情報
羊水検査とは、胎児を包んでいる羊水を採取し、染色体異常の有無を確認する確定診断です。
胎児は胎内で羊水を飲んだり、おしっこをしているので羊水中には赤ちゃんの細胞が含まれています。羊水検査ではまず超音波で胎盤や子宮内の胎児の位置から羊水穿刺が可能か確認します。
問題が無ければお腹に針を刺して、羊水を20ml採取し、その後、胎児細胞の培養、顕微鏡で染色体異常を確認するという流れを取っています。
羊水検査の費用と精度
費用は約15万円です。胎児細胞を検査に利用することから、精度はほぼ100%と言われていますが、その反面、一定リスクがあるのがこの確定診断です。
確定診断には羊水検査の他にも絨毛検査があります。
羊水検査のリスク、や検査項目、検査でわかる疾患の症状などは後ほど詳しくお教えします。
羊水検査の時期
羊水検査を受けることができるのは、妊娠15~16週以降と決められています。
家族との話し合いの時間を設けることや、余裕を持った出産準備をすることを考えると、受検可能な妊娠15~16週を過ぎたできる限り早い時期に受けることをおすすめします。
そのためには妊娠が発覚した後すぐに、家族の中で検査を受けるか否かの話し合いを行い、早めの予約ができるように準備を進めましょう。
羊水検査を実施できる週数、受けてから結果が出るまでにかかる週数を加味して、いつまでに予約をするべきかをご説明します。
羊水検査の羊水を採取する時期
羊水検査は妊娠15週〜16週以降であれば検査可能です。
それ以前は羊水量の関係で検査ができません。羊水検査はお腹に針を刺し、羊水を採取するだけなので所要時間は10分〜20分程度です。
検査後は問題が無ければ、日帰りか、一泊二日入院(病院の方針によって変わります)してすぐに帰宅することができます。もし破水や腹痛などの問題がある場合は入院日数が伸びる可能性があります。
羊水検査の結果がわかる時期
検査の方法によって異なります。G-band法(検査を確定させるために細胞を培養する方法)では結果がわかるまでに約2週間〜4週間かかります。
fish法(培養を省き簡易的な結果がわかる方法)では結果がわかるまでに約5日間かかります。施設によってはG-band法とfish法を併用しているところもあります。
検査の結果がいつ頃わかるのかなどは施設ごとに細かな差がありますので、詳しく知りたい方は直接確認することおすすめします。
羊水検査の予約をする時期
検査の結果がわかる時期が施設によって異なるため、一概には言えませんが、結果が出るまで4週間かかると想定します。
この場合、21週目までに結果を受け取るためには、17週目までに羊水検査を受けられるように予約をする必要があります。
とはいえ、結果がわかる時期が病院によって異なること、予約が混雑していて希望の日に検査を受けられない可能性があることを考えると、可能な限り早く医療機関に相談をしておくことをおすすめします。
人工中絶について
日本の法律では、人工妊娠中絶が可能な時期が定められています。手術が受けることができるのは21週6日までとなっています。
22週1日目からは、いかなる理由でも中絶を選択することはできません。最低限の予備知識として、上記のことは知っておきましょう。
羊水検査でわかることや留意点
希望の時期に予約ができたとしても、検査でわかる疾患や症状を理解しておかなければ、結果に意味がありません。
この章では、羊水検査の検査項目は何か、リスクは何がどの程度あるのかをご説明します。
羊水検査でわかること(検査項目)
検査項目は大きく分けて染色体の数的異常(通常2本1対の染色体の本数が変わってしまうこと)と、構造上の異常(染色体が欠けていたり、染色体同士が付着してしまうこと)の2つがあります。
症状は全46本ある染色体の中でも、何番目の染色体にどんな異常が発生するかで変わります。以下、具体的に検査項目と症状について説明します。
- パトー症候群(13トリソミー):
通常2本存在する13番染色体が3本に増える数的異常です。
心臓や脳などに重度の合併症が起こることもあります。胎内で亡くなるケース、出生後すぐに亡くなってしまうケースも多く、1歳を迎えられる赤ちゃんは10%未満とも言われています。 - エドワーズ症候群(18トリソミー):
通常2本存在する18番染色体が3本に増える数的異常です。
発達の遅れや心臓病横隔膜ヘルニアなどの合併症が考えられます。生まれてすぐ亡くなるケースも多く、1歳を迎えられる赤ちゃんは約10%と言われています。 - ダウン症候群(21トリソミー):
通常2本存在する21番染色体が3本に増える数的異常です。
運動や知的能力の発達が遅く、生まれつき脳などに合併症を抱えている場合があります。しかし他の常染色体の異常と比べて平均寿命は60歳前後と長いです。 - ターナー症候群(モノソミーX):
女性の性染色体XXが1本に減りXのみになる数的異常です。
身長が低かったり、不妊症などの可能性があります。しかし、一般的には知的な遅れはなく、寿命も通常と差はないと言われています。 - トリプルエックス症候群(トリソミーX):
女性の性染色体XXが3本に増えXXXになる数的異常です。
言語能力の問題や知的能力が若干低いことがありますが、身体的な異常はほとんど起こりません。月経不順や不妊症の原因にもなりますが、出産できる場合もあります。寿命は通常と差がないと言われています。 - クラインフェルター症候群:
男性の性染色体XYが1本増えXXYになる数的異常です。
長い手足、学習障害、精巣の萎縮、無精子症などの可能性があります。根本的な治療法はありませんが、男性ホルモン不足が原因の合併症はの男性ホルモンを充填することで症状を和らげることができます。
寿命は通常と差がないと言われています。
他にも転座(染色体の一部が切断され、他の染色体に付着してしまう異常)や、欠失(染色体の一部が無い状態)などの染色体構造の異常も検査項目です。/p>
羊水検査のリスクと検査の限界
羊水検査には穿刺針の影響でリスクがあったり、上手く検査結果が出ない可能性があります(検査の限界と呼ばれます)。それぞれ紹介します。
母体や胎児への影響
羊水検査は羊水穿刺の影響で胎児も母体もリスクを伴います。胎児は0.3%(=300人に1人)の割合で流産する可能性があります。
ただし、羊水検査の流産率はこの時期の自然流産の確率(1.7%)と比べると高くないと指摘する専門家もいます。母体は母体障害、破水(羊膜から羊水が漏れ出すこと)、出血、羊水塞栓症、子宮内感染症などの危険性が挙げられます。
医師から穿刺後、経過を見て安静にすることや、抗生剤を内服することなど様々な指示を受けますが、これらはリスクを抑えるために行われています。
検査の限界(検査結果が上手く出ない可能性)
羊水検査には上手く結果がでない検査の限界があります。正確な検査はないことを理解しておきましょう。
1つ目は染色体モザイクです。染色体モザイクとは、胎児が正常な染色体と異常な染色体の2つを持っており判断が難しくなります。
2つ目は双子の場合です。羊水が混ざり合ってしまい、検査が不明確になってしまう可能性がります。
非確定検査の検査可能時期と結果がわかるまでにかかる時間
出生前診断ではリスクを避けるためにまずはスクリーニングテストとして非確定診断を受け、染色体異常の可能性を指摘された場合のみ羊水検査などの確定診断に進むことが一般的です。
そのため、羊水検査を受ける前に非確定検査を受けることを視野に入れることも必要となってきます。
この章では、非確定診断の概要、検査可能時期、結果がわかるまでにかかる時間、17週目までに羊水検査を受けるために、いつまでに非確定検査を受けるべきかをご説明します。
非確定診断をいつ頃予約するべきか考える際にご活用ください。
超音波検査
- 内容:エコーを用いて、赤ちゃんの形態的な特徴から疾患の可能性を算出する検査
- 検査項目/時期:妊娠週数によって検査項目が異なる。NT(胎児の首のうしろのむくみ)の厚さを測定することで染色体異常を見る検査(妊娠初期11週〜13週)、脳や心臓の奇形の検査(妊娠中期妊娠20週〜30週)
- 検査結果:当日の場合が多い
- 結果の出方:確率(Ex.◯◯分の1の確率で染色体異常を認める)
母体血清マーカー検査(クアトロテスト)
- 内容:母体血に含まれる胎児由来の成分から染色体異常の可能性を計算する血液検査
- 検査時期:妊娠15~18週
- 検査結果:10日程度
- 結果の出方例:確率(Ex.◯◯分の1の確率で染色体異常を認める)
コンバインド検査
- 内容:母体血清マーカー検査と超音波検査を組み合わせた検査
- 検査時期:妊娠11週~13週
- 検査結果:翌日~約2週間
- 結果の出方例:確率(Ex.◯◯分の1の確率で染色体異常を認める)
NIPT(新型出生前診断)
- 内容:採血のみでできる2011年に米国で開発された検査
- 検査時期:妊娠10週目以降
- 検査結果:1週間~2週間程度
- 結果の出方:陰性か陽性
出典元:
東京FMCクリニック 「よくある質問」
(2019年6月15日最終閲覧)
Gene Tech株式会社「コンバインド検査とは」
(2019年6月15日最終閲覧)
出生前診断の種類については他のコラムでも紹介していますのでよろしければご一緒にご覧ください。
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羊水検査はなるべく早く予約しましょう。
羊水検査は予約制です。
そのため病院の都合やご家族の都合などで予約が遅くなってしまった場合、希望の処置に間に合わななかったり、短い時間で決断を迫られる可能性があります。
また、前もってご夫婦で話し合っていたとしても、この時期は胎動が活発になり、お腹の中の赤ちゃんが成長していることを強く感じるため、決断が揺らぐことも少なくありません。
出生前診断を受けるに当たって一番重要なことは、赤ちゃんのご両親になるお二人が納得した道を選ぶことです。まずは早めに専門医のカウンセリングを受診し、計画的に羊水検査を受けましょう。
安心して出産するための新型出生前診断(NIPT)という選択肢
■妊娠中のリスク管理には出生前診断が有効です
妊娠すると心身が変化をはじめ、妊婦さんとお腹の赤ちゃんは様々な要因から病気になるリスクが高くなります。出生前診断は妊娠管理の上で有益な情報源となります。
胎児に異常が見受けられる場合には早期に準備ができますし、流産しやすいなどの特徴が見られる場合は個別の対応をすることが可能になります。
早期の発見には、出生前診断の中でも採血のみで高精度の検査が可能なNIPT(新型出生前診断)がおすすめです。
■八重洲セムクリニック(東京)・奥野NIPTセンター(大阪 奥野病院横)のNIPTはこちら(新型出生前診断)
八重洲セムクリニックと奥野NIPTセンターの特徴、他院との違いについては「当センターが選ばれる理由」で解説しています。こちらも是非ご確認ください。
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