羊水検査とは?何がわかる?いつからいつまで?受ける割合、注意すべきリスクなどを解説

羊水検査は出生前診断の一つで、ほぼ100%の精度で赤ちゃんの先天異常を診断することができる確定検査です。

母体の子宮から少量の羊水を採取して調べることで、胎児の染色体異常や遺伝子疾患が見られるかどうかを診断します。

胎児の染色体異常をほぼ確実に見つけることができ、新型出生前診断を受けた後の確定診断としても受けられています。しかし低確率ながら流産リスクもあるなど、詳細を把握し、納得してから受ける必要がある検査ともいえます。

  • 何が分かる検査なのか
  • いつからいつまで受けられるのか
  • リスクや注意事項はあるのか
  • 条件や費用などはどの程度なのか

今回は、このような疑問にお答えするため、羊水検査について解説していきます。

羊水検査とは?

羊水検査とは、胎児を包んでいる羊水を採取し、染色体異常の有無を確認する確定診断です。

羊水中では、胎児がおしっこをしたり、羊水を飲むなどしてお腹の外でも生きていける準備をしているため、羊水には胎児の細胞が含まれています。

その胎児の細胞を利用することで、染色体異常の有無をほぼ100%の精度で確認できる検査となります。

羊水検査の検査方法は?

羊水検査を行うときはまず超音波検査(エコー)を行いながら胎児の状態や位置を確認します。
そこで妊婦さんの腹部から胎児や胎盤の位置を見ることで、胎児の状態が正常であるかどうか、また羊水を穿刺する場所を見定めていきます。

実際の羊水検査では妊婦さんの腹部を消毒し、必要時には腹部に皮膚の局所麻酔を行います。超音波検査で胎児や胎盤の位置を確認しながら、大体お臍の下あたりの安全な部位から細い穿刺針を用いて羊水(10〜20ml)を吸引します。穿刺が行われる時間は約20秒前後です。

針の痛みは人によって感じ方が異なります。羊膜に達する際、ズンと鈍い痛みがあり、違和感が3日ほど続いたという方もいれば、痛みをほとんど感じなかったという方もいます。

とくに問題がなければ羊水穿刺は1回のみ行われますが、羊水の採取が難しい場合などは再度穿刺が行われる場合もあります。

羊水穿刺が行われた後は再び超音波検査にて胎児の状態を確認し、問題がなければ30分ほどベッドで安静を保った後帰宅することになります。病院によっては入院を要するところもあります。

羊水から採取された細胞は、細胞数を増やすために7〜10日間培養されて3週間以上の期間を経てから結果が出ます。培養された細胞を染色し顕微鏡を使って細胞を分析し判定を行います。

検査にはG-Band法とfish法、マイクロアレイ法があり、G-Band法は検査から2〜4週間後、fish法は約5日後に結果が出ます。実際にはG-band法が一般的であり、マイクロアレイ法はG-band法でわからなかった微細な染色体異常を診断することができます。

羊水検査が受けられる時期は?

羊水検査は妊娠中いつでも受けられるわけではありません。検査の対象となる妊娠週数は妊娠15~16週以降です。

特に15〜18週の時期は子宮内の羊水の量が200〜300mlと多く羊水を採取するのが比較的難しくないことや羊水に含まれている胎児由来の細胞の増殖力が強く、採取後に検査を行うための培養がしやすいといった理由が挙げられます。

家族との話し合いの時間を設けることや、余裕を持った出産準備をすることを考えると、受検可能な妊娠15~16週を過ぎたできる限り早い時期に受けることをおすすめします。

そのためには妊娠が発覚した後すぐに、家族の中で検査を受けるか否かの話し合いを行い、早めの予約ができるように準備を進めましょう。

羊水検査の費用は?

羊水検査の費用は実施する医療機関によりますが、全額自己負担の自費診療で6万〜20万円程度です。追加で遺伝子診断を行う場合は別途追加4〜6万円かかる医療機関もあります。

検査費用に開きがあるのには理由があり、羊水検査に入院が必要な場合には費用が高くなる傾向があります。

羊水検査の費用の違いについては「羊水検査の費用はいくら?」でも詳しく解説していますので、こちらもご確認ください。

羊水検査でわかること

羊水検査の検査項目は大きく分けて染色体の数の異常を調べるものと、構造上の異常を調べるものの2つがあります。

染色体の数の異常

染色体は1〜22番染色体(常染色体)と性染色体の2種類があり、それぞれ2本ずつ1対で計46本の染色体があります。しかし、何らかの原因で染色体の数が3本になってしまうトリソミーや、1本少ないモノソミーと言った染色体異常が発生することがあります。

羊水検査では常染色体と性染色体両方の染色体の数的異常を検査することができ、例えば、ダウン症候群(21トリソミー)、エドワーズ症候群(18トリソミー)、パトー症候群(13トリソミー)、ターナー症候群(モノソミーX)、クラインフェルター症候群などの疾患の有無を確認できます。

染色体の構造上の異常

羊水検査で検査できるのは数的異常だけではありません。染色体の一部が切断され、他の染色体に付着してしまう転座と呼ばれる構造異常や、染色体の一部が無い欠失なども診断することができます。

検査結果は陰性、陽性のように結果がはっきりと出ます。出生前診断の中には結果が確率で表示(Ex.〇〇パーセントの確率で21トリソミーの可能性を認めます)される検査もあるため、結果をどのように解釈するかは夫婦次第ですが、羊水検査は解釈の違いで結果の受け止め方が変わる心配はありません。

羊水検査でわからないこと

細かい染色体の異常や遺伝子変異

一般の羊水検査では微細な構造異常はわかりません。また、遺伝子検査ではないため、遺伝子変異による病気もわかりません。

染色体異常以外の先天性疾患

染色体以外の原因となる、心疾患や口唇口蓋裂、脳の病気や背中の病気などは、羊水検査でははっきりとは特定できません。

羊水検査の注意点とは?

受検には条件がある

羊水検査が受けられる対象として以下のようなケースが挙げられます。

・夫婦のいずれかが染色体異常や遺伝子疾患の保因者である

・染色体異常症に罹患した児を妊娠・分娩した既往がある

・妊婦さんが高年齢である

・流産を繰り返している

・超音波検査やNIPTなどで胎児の異常の可能性があると指摘された

羊水検査が実施されている適応のほとんどは高齢妊娠や染色体異常症に罹患した児をこれまでに分娩したことがある場合となっています。

羊水検査の予約をする時期

検査の結果がわかる時期が施設によって異なるため、一概には言えませんが、結果が出るまで4週間かかると想定します。

この場合、人工妊娠中絶が可能な時期の21週目までに結果を受け取るためには、17週目までに羊水検査を受けられるように予約をする必要があります。

とはいえ、結果がわかる時期が病院によって異なること、予約が混雑していて希望の日に検査を受けられない可能性があることを考えると、可能な限り早く医療機関に相談をしておくことをおすすめします。

羊水検査で全ての疾患がわかる訳では無い

羊水検査の検査項目は染色体異常のみになります。例えば自閉症などはさまざまな要因が重なっておこる疾患であるため、羊水検査の対象外になります。

また、知的障害も検査ではわからない場合があります。知的障害の原因は染色体異常以外にも、出生時の酸素不足、脳の圧迫などの事故や生後の高熱の後遺症などで起こる可能性があるためです。

羊水検査で考慮すべきリスク

羊水検査を行うことで、感染・出血・前期破水・流産・早産などの合併症が起こることが考えられます。一般的に羊水穿刺後に流産に至る可能性は0.5%未満(0.2〜0.3%)といわれていますが、安全性は絨毛採取や臍帯穿刺より高いです。しかし自然流産と比べたときに羊水穿刺後の流産の確率的には高くないと捉えることもできます。

他にも羊水を穿刺する前に子宮の収縮や出血がないこと、子宮頸管が短くなったりしていないなどの確認が必要になります。また検査後には感染を予防するための抗生剤服用が必要になります。

このように合併症の確率によらず、羊水検査を受けることでそのような合併症の可能性があることを検査前に十分説明がなされ、夫婦ともに十分理解しておくことが重要です。

羊水検査で染色体異常が見つかる確率

羊水検査の精度はほぼ100%ですが、羊水検査を行うことで染色体異常が3.6%程度が見つかると言われています。

しかし染色体の検査で留意すべきこととして「染色体モザイク」といって正常な染色体と異常な染色体の両方を持っている胎児がいることがあります。この場合羊水検査で両方の染色体が見つかれば染色体モザイクの診断が可能ですが、なかには正常の細胞しか見つからない場合もあり、児が誕生後に染色体の異常が見つかるといったことも起こりえるのです。

染色体モザイクには「真性モザイク」と「偽性モザイク」があり、真性モザイクは胎児が本当に正常な染色体と異常な染色体を持っている状態のことをいいます。

一方で偽性モザイクとは羊水穿刺後の培養段階で異常な染色体が生じてしまう状態のことをいい、胎児には染色体の異常は見られません。この偽性モザイクは羊水検査において約1%程度見つかるといわれています。

さらに双子の場合にはそれぞれの羊水が混ざり合うことで、羊水検査の結果が不明瞭になる場合もあります。

検査の限界は全ての出生前診断に存在します。確実に検査ができる訳ではないということを理解しておきましょう。

性別を教えてくれるかどうかは病院次第

羊水検査では全ての染色体の検査ができるため、技術上、性別を確認することは可能です。

しかし、病院によっては倫理的な観点から妊婦さんに性別を伝えていないこともあります。

性別も知っておきたいという方は事前に病院の先生に確認しておきましょう。

保険などの公的医療制度は対象外

医療費の負担額は通常、医療費から国や自治体からの控除額を引いたものになります。

しかし、日本ではアメリカやイギリスなどの出生前診断が主流の国と比べ、羊水検査に対する公的制度が整っていません。そのため自費で賄わなければならない部分が大きく、羊水検査は下記の公的医療制度からは対象外となります。

1.公的健康保険

・国民健康保険

・被用者保険(組合管掌健康保険・全国健康保険協会管掌健康保険・船員保険・共済保険)

2.高額療養費制度

・医療費控除

羊水検査まとめ

■検査方法

必要時は皮膚に局所麻酔をし、穿刺針を用いて羊水(10〜20ml)を吸引。(約20秒前後)

痛みは人それぞれ。

問題がなければ30分ほどベッドで安静を保った後帰宅。

病院によっては入院を要するところも。

■検査時期

妊娠15~16週を過ぎたできる限り早い時期

■費用

6万〜20万円程度

(医療機関により多少前後します。)

■主な検査対象の疾患

染色体異常(数の異常、構造の異常)

数の異常 ・・・ダウン症(21トリソミー)、18トリソミー、13トリソミー、ターナー症候群、クラインフェルター症候群など

構造の異常・・・転座、欠失など

■検査精度

ほぼ100%

■対象者

羊水検査が受けられる対象として以下のようなケースが挙げられます。

・夫婦のいずれかが染色体異常や遺伝子疾患の保因者である

・染色体異常症に罹患した児を妊娠・分娩した既往がある

・妊婦さんが高年齢である

・流産を繰り返している

・超音波検査やNIPTなどで胎児の異常の可能性があると指摘された

■流産・死産のリスク

約0.5%未満(0.2〜0.3%)

さいごに

羊水検査は予約制です。

そのため病院の都合やご家族の都合などで予約が遅くなってしまった場合、希望の処置に間に合わなかったり、短い時間で決断を迫られる可能性があります。

また、前もってご夫婦で話し合っていたとしても、この時期は胎動が活発になり、お腹の中の赤ちゃんが成長していることを強く感じるため、決断が揺らぐことも少なくありません。

出生前診断を受けるに当たって一番重要なことは、赤ちゃんのご両親になるお二人が納得した道を選ぶことです。まずは早めに専門医のカウンセリングを受診し、計画的に羊水検査を受けましょう。

安心して出産するための新型出生前診断(NIPT)という選択肢

■妊娠中のリスク管理には出生前診断が有効です

妊娠すると心身が変化をはじめ、妊婦さんとお腹の赤ちゃんは様々な要因から病気になるリスクが高くなります。出生前診断は妊娠管理の上で有益な情報源となります。

胎児に異常が見受けられる場合には早期に準備ができますし、流産しやすいなどの特徴が見られる場合は個別の対応をすることが可能になります。
早期の発見には、出生前診断の中でも採血のみで高精度の検査が可能なNIPT(新型出生前診断)がおすすめです。

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