妊娠中に胎児に染色体異常があるかなど調べる出生前診断のひとつであるNIPTは、妊娠10週目から妊婦さんの採血のみで検査ができ、妊婦さんや胎児にリスクの少ない検査です。
検査では主に胎児にダウン症候群(21番染色体が3本存在する染色体異常)、エドワーズ症候群(18番染色体が3本存在する染色体異常)、パトー症候群(13番染色体が3本存在する染色体異常)の可能性があるかを調べ、最近では全ての染色体や性染色体、染色体の微小欠失などについても医療機関によっては調べることができるようになりました。
検査費用は約20万円とやや高額ですが検査精度も高いため、最近では受検する妊婦さんも増えています。
NIPTの特徴や、問題点などNIPTを受ける前に知っておたい基礎知識をまとめたコラムがありますので、詳しく知りたい方は合わせてご覧ください。
【関連記事】
▶NIPT(新型出生前診断)とは?検査内容とNIPTの問題点
しかしNIPTが比較的簡単に検査ができて受検者が増えるほど、NIPTの結果が出るまで不安になる人も多くなります。
さらに結果が陽性になった場合はどう対応すれば分からないという人もいるでしょう。
そのような時NIPTに関する情報や同じ経験をした妊婦さんのブログなどを見ることで不安を和らげ、自律的な意思決定を支えることにもつながります。
今回はNIPTを受検して陽性となった場合の対応やその後の対応について参考になるブログや情報があるかなどをまとめました。
NIPT結果が陽性になったらどうすればいいの?
NIPTの検査結果は「陰性」「陽性」、または「判定保留」で出ます。陰性であれば胎児が特定の染色体疾患である可能性は低く、陽性であればその可能性があることを意味します。
判定保留は検査の条件が揃わなかった場合に出ることがあり、再検査となることが多いです。
ここで気になるのが万が一陽性となった場合の対応です。どのような対応が求められるのかを見ていきましょう。
遺伝カウンセリングを受けて陽性の意味を理解する
NIPT結果が陽性の場合は、必ず専門家から遺伝カウンセリングを受けてその後どう対処するのかを相談します。
さらにNIPT陽性の意味についても再度確認することになります。実はNIPT結果が陽性でも実際には胎児には異常がないケースがあります。
NIPTは検査の精度が高く、特に陰性の場合は陰性的中率(実際に染色体異常を持たない人が正しく陰性と診断される割合)が99%であるのが特徴です。
数字は一方で陽性的中率(実際に染色体異常を持つ方が正しく陽性と診断される割合)はは96.7%となっており、これは陽性の結果を受け取った妊婦さん100人のうち3人〜4人は実際には陰性の可能性があることを示しています。これを偽陽性といいます。
NIPTコンソーシアムの調査によると、NIPTを受けた人の中で陽性だった妊婦さん933人に対して偽陽性が認められた人数は81人いたということです。
さらに陽性適中率は各検査会社の技術や検査対象となる染色体異常疾患、妊婦さんの年齢などによっても変わります。
従来行われていた他の非確定的な出生前診断に比べ精度が高いNIPTですが、羊水検査や絨毛検査などの確定診断ほど正確な検査ではないことに注意する必要があります。
確定診断を希望するなら羊水検査を受ける
NIPTはその結果だけでは診断が確定できない非確定検査であるため、診断を確定する場合には羊水検査や絨毛検査といった検査を受ける必要があります。
絨毛検査に比べて比較的侵襲が少ない羊水検査を受ける妊婦さんが多く、羊水検査では染色体モザイク(異常な染色体と正常な染色体の両方が含まれている状態)などの検査の限界が出なければほぼ100%の確率で染色体異常の有無についての診断ができます。
羊水検査の費用は約15万円であり、病院によってはNIPTの検査費用にNIPT陽性だった場合の羊水検査費用が含まれている場合もあります。
NIPTが陽性となった場合、確定診断をするために羊水検査を希望する人が多いですが、必ずしも羊水検査を受ける必要があるとは限りません。
あくまでも遺伝カウンセリングなどで十分情報提供や相談を経た上で、夫婦が確定診断となる羊水検査を受けるかどうかを決める必要があります。
羊水検査について知るべきこと
羊水検査では妊婦さんの腹部もしくは膣から子宮に針を指して羊水を採取し、実際に胎児の細胞を顕微鏡で確認しながら行うため高い精度が期待できます。
一方で羊水検査にはリスクも伴うため、受検前に知るべき点があります。羊水検査について知るべきことを説明します。
羊水検査には妊婦さんや胎児に対するリスクを伴う
羊水検査は超音波検査で胎盤や胎児の位置を確認しながら腹部や膣より安全な位置から羊水を採取します。
実施する医療機関にもよりますが、検査後特に問題がなければ入院せずに帰宅することができる検査でもあります。
しかし羊水を針を使って穿刺する影響で流産(0.3%)や破水、出血、羊水感染症などのリスクが伴います。
羊水検査のリスクについては以前コラムで説明しています。
【関連記事】
▶羊水検査のリスクとは?リスクを避けるためにできる3つのこと
検査を受けられる時期が限られている
羊水検査が受けられる時期は妊娠15週〜18週頃です。検査後2〜4週間以降に結果が分かります。
このように羊水検査の時期が限られているのは、羊水が子宮内に十分ある時期であることや万が一陽性となった場合、妊娠を継続しない判断をした時に手術が受けられるのが妊娠21週6日までと限られているためです。
これらのスケジュールからもNIPT結果で陽性が出た場合に羊水検査を受けるかを期間内に決める必要があり、羊水検査の予約も早めに入れなければなりません。
羊水検査を受ける前に結果を知った後の対応を決めておく
羊水検査の結果はそれだけで確定診断となるため、検査を受ける前に万が一結果が陽性となった場合にどう対応するのか決めておくことをお勧めします。
また羊水検査が確定診断と言われるものの、その結果も絶対とは言い切れません。
検査結果を受け取った後に妊娠継続についてどうすべきか夫婦で悩むのではなく、NIPTや羊水検査を受ける前から専門家による遺伝カウンセリングを受けて夫婦で話し合っておきます。
そして結果が陽性の場合にとるべき対処法についても夫婦で意思決定をある程度しておくことが望ましいでしょう。
NIPT受検に参考になるブログは?
NIPTや羊水検査の内容や結果について情報を知ることはできますが、実際の体験者はどのように対処したのか知ることも参考になる場合があります。
ここではNIPTや羊水検査受検に対して参考になるブログの一例を紹介します。
個人ブログは当事者の体験談が参考になる
NIPTを受ける妊婦さんが増えてきた中でブログなどで体験談を発信する人もいます。
それぞれのブログではNIPTを受けた体験やその後の結果に対してどのように対応したのかの体験が当事者の視点から書かれています。
NIPTや羊水検査を受ける同じ当事者として参考になる部分もあるでしょう。
しかしあくまでもブログは個人の体験であって、検査に対する対応や決断が必ずしも自分自身の体験に当てはまるものではないことを理解した上で参考にすることをお勧めします。
病院のHPやブログ、コラムからも情報が入手できる
妊婦さんなど検査を受ける当事者以外では、検査を提供する医療機関のホームページやブログ、コラムも参考になります。
NIPT予約センター(東京 八重洲セムクリニック)(大阪 奥野NIPTセンター)
医療機関においては学会から認定を受けている施設と認定外の施設があり、実施できる検査内容や方針も異なります。
NIPT受検を考えている妊婦さんはそれらの情報を見極めながら参考にするようにして下さい。
他にNIPT受検に参考になるサイトは?
個人ブログやNIPTを実施している医療機関以外にNIPT受検や結果判明後の対応について参考になるサイトを挙げます。
遺伝カウンセリングを行う病院を探す「臨床遺伝専門医一覧」
NIPTや羊水検査を受ける前後に専門家の意見を聞きたいと思ったら、以下のサイトから臨床遺伝専門医を探すこともできます。
臨床遺伝専門医制度委員会「全国臨床遺伝専門医・指導医・指導責任医一覧」
遺伝カウンセリングとは臨床遺伝専門医と呼ばれる臨床遺伝学の研修を3年以上行い、遺伝カウンセリングの実施した経験を積んだ専門医によるカウンセリングのことです。
遺伝カウンセリングの目的は医学的な知識をわかりやすく伝え、自らの力で医療技術や医学情報を利用して問題を解決して行けるよう、心理的なサポートを含めた支援を行うことにあります。
もし検査結果にどう対処すべきか迷った場合には、かかりつけ医だけでなく臨床遺伝専門医専門家などの意見をを聞き参考にするのもよいでしょう。
病気や障がいを持つ子供との将来について考える「親子の未来を支える会」
NPO法人親子の未来を考える会は、子供が生まれる前から親子をサポートしたり、家族の自律的な決定を支援したりするなどの活動を行っています。
この会では特に妊娠中に出生前診断を受けた家族が情報を得て、自律的に意思決定ができるように、病気や障がいと関わる家族同士の出会いの場(「ゆりかご」)も提供しています。
21トリソミー児や家族のの支援者団体「日本ダウン症協会」
日本ダウン症協会は、ダウン症(21トリソミー)のある人たちと家族、支援者で作られている会員組織で、ダウン症に関わる色々な活動を行っています。
活動の中でも相談支援事業では、高校生以上のダウン症を持つ子がいる相談員相談に応じています。
日本全国地域ごとに相談員がおり、地域の状況や情報などを細かく提示し対応してくれます。相談を受け付けている時間は以下の通りです。
■日本ダウン症協会
・相談支援事業相談時間/月曜日から金曜日の10:30~15:00
TEL: 080-6590-1824(専用電話)
18トリソミー児や家族の支援者団体「18トリソミーの会」
18トリソミーの会は、エドワーズ症候群(18トリソミー)のある子供と両親のための会です。
エドワーズ症候群の医学的な説明だけでなく、18トリソミーをもつ子の両親の思いが書き留められている「親の想い」というページや18トリソミーをもつ子の親のブログなどのリンクもあります。
13トリソミー児や家族の支援者団体「13トリソミーの子供を支援する親の会」
「13トリソミーの子供を支援する親の会」は、パトー症候群(13トリソミー)の子供とその家族を支援することを目的に、1998年5月に発足された支援団体です。
パトー症候群の医学的な説明や13トリソミーの子をもつ方のホームページのリンクがあります。
会員限定ではありますが相互に連絡を取り合えるように会員名簿が共有されたり、掲示板などで悩みを相談することもできます。
まとめ:NIPT受検前に夫婦で結果にどう対処するか考えておく
NIPTは妊婦さんや胎児に侵襲が少なく、精度が比較的高い出生前診断であるため受検を希望する妊婦さんは多いです。
しかしNIPTの結果は非確定的な診断となり、結果が陽性でも実際には染色体異常のない偽陽性の可能性もあります。
さらに結果が陽性の場合は結果が確定診断となる羊水検査などを受けるかどうかの夫婦の意思決定が必要になります。
NIPTを受ける前にはそのような状況になりうることを予測をした上で、予め夫婦で結果に対してどう対処するのか決めておくことが大切です。
その場合には専門家による遺伝カウンセリングを受けて、十分な情報提供を受けた上で夫婦の自律的な意思決定ができることが望ましいです。
情報収集する時には、今回紹介したような個人ブログや病院のホームページ、支援者団体などが示している情報なども参考できます。
ただし特に個人ブログなどはあくまでも個人の体験や主観によるものであり、最終的な判断は夫婦によるものであることを忘れずに参考にするようにして下さい。
東京・大阪でNIPTを受診するならこちら
産婦人科医のNIPT予約センター(八重洲セムクリニック[東京]・奥野NIPTセンター[大阪 奥野病院横])は、総検査数10,000件を超える豊富な検査実績と充実したアフターサポートにより多く方に選ばれています。
■NIPTの検査実績
2016年に日本で初めて無認可施設としてNIPTを提供し、日本国内の医療機関でNIPT総検査数10,000件を超える実績をもつ専門医療機関です。
■NIPTに対する高い専門性
10,000件のカウンセリングを通して妊婦さん一人一人と向き合ってきた、出生前診断歴45年を超える産婦人科医かつ国際出生前診断学会の会員である医師が検査を担当します。
■羊水検査が可能
陽性だった場合は羊水検査の実施まで責任を持って行います。他院で受ける必要はなく、その他紹介状やかかりつけ医への説明についてもご相談が可能です。
■検査会社の実績
累計検査数100,000件を超える実績を持つベリナタヘルス社へ検査を委託しています。「ベリナタ法」と呼ばれる独自のサンプリング技術によって、微小欠失まで調べることが可能です。
■国際医療輸送の実績
血液検体の輸送は、WHOが規定する国際基準に従い国際医療輸送の専門企業が担当します。検体紛失や取り違いは1度もありません。
まずは医師によるカウンセリングにてお気軽にご相談ください。
ご希望日程の空きがない場合はお電話でお問合せください。