妊婦検診の頻度と検査内容、検査費用について解説

妊娠が確定すると、妊婦と赤ちゃんの状態を観察するために定期的に通院する機会が多くなります。

その中で妊婦検診の頻度や検査の内容や費用について疑問に思った方も多いのではないでしょうか?

検査の内容や費用は、通院する病院や居住地によっても異なってきます。この記事では妊婦検診の頻度や内容、1回の検診でかかる費用について解説していきます。

妊婦検診とは?

妊婦検診は、正式には妊婦健康診査と言います。妊娠成立後、出産までの期間中定期的に病院を受診し、診察や受ける検査のことを指しています。

妊婦検診は法律によって受診が義務付けられているわけではありませんが、厚生労働省は妊娠期間中に心身ともに健康に過ごし、無事に出産を迎えるためにも活用してほしいという意図で妊婦検診を推奨しています。

妊娠前まで病気にかからず健康な人であっても、妊娠するとさまざまなトラブルに見舞われる場合があります。

妊婦検診では母子の状態だけでなく、不安に思っていること、気がかりなことを気軽に相談できる場です。母子ともに安全な出産を迎えるためにも、妊婦検診は必ず受けるようにしましょう。

妊婦検診の頻度

妊娠が成立すると、決められた週数ごとに定期的に病院に通院する必要があります。厚生労働省のホームページによると、妊婦検診の頻度を以下のように定めています。

妊娠初期〜23週まで 4週間に1回
妊娠24〜35週まで 2週間に1回
妊娠36〜40週まで 1週間に1回
妊娠41週〜 3日に1回、または1週間に1回 (産科の方針により異なる)

妊娠5週ごろから妊娠に気づくケースが多く、その時点で病院を受診するとほとんどの方は胎嚢しか確認できません。

そのため1週間ないし2週間後に再度受診し、赤ちゃんの心拍を確認して妊娠の成立を告げられることとなります。

妊娠7〜8週の受診を1回目の妊婦検診とすると、病院に通院する回数は合わせて14回程度です。しかし妊婦やお腹の赤ちゃんの状態によっては、2週間に1回、1週間に1回ともっと頻繁に受診しなくてはならない場合もあります。

妊婦検診の内容

妊婦検診では毎回共通して行われる基本的な項目があります。

  • 妊婦と赤ちゃんそれぞれの健康状態
  • 妊婦の子宮底長や腹囲、血圧、体重の増減、尿検査
  • エコー検査による赤ちゃんの頭囲と腹囲の測定、臓器の発育状況の観察

上記の項目以外にも、週数に応じて観察項目や検査の内容が変化していきます。

妊娠中には貧血や便秘といった身体の不調以外にも、腰痛や頻尿などのマイナートラブルに悩まされる時が多々あります。妊婦検診を通して、このようなトラブルの相談も合わせて行うことができます。

それでは妊娠経過に伴った細かい検査内容を確認していきましょう。

妊娠初期〜23週まで

妊娠初期(妊娠4〜13週)時に医師は経膣エコーを用いて、

  • 正常妊娠(子宮内に受精卵が着床している)かどうか
  • 子宮や卵巣のトラブルはないか
  • 胎児の心拍に異常はないか
  • 出血の有無

などを観察しています。

さらに妊娠10週ごろを目安に血液検査を行います。この血液検査では血液型、血球数、梅毒や風疹ウイルス、エイズなどの抗体をチェックしています。

他にも子宮頸癌の検査やクラミジアの検査が行われ、これらをまとめて妊娠初期検査とも呼んでいます。検査の結果次第では、薬の処方や処置が必要になる可能性もあります。

妊娠12〜15週になる頃には胎盤が完成し、赤ちゃんも大人の手のひらサイズほどの大きさになります。

器官の形成は終わっているので、胎児の発育、主要な臓器の大きさや位置、胎盤とへその緒の大きさや長さなどを観察しています。

妊娠24〜35週まで

妊娠24週になると、お腹も膨らんで見た目の変化が感じられるでしょう。20週前後くらいを目安に経膣エコーから腹部エコーに切り替わり、お腹の上からでも胎児の状態がわかるようになります。

安定期に相当するこの時期は、基本項目以外にも血液検査や心電図、腟分泌物培養といった検査を実施します。

妊娠初期の血液検査とは注意する項目も違い、貧血の有無、肝臓の機能、血液が凝固する時間などを確認しています。

さらに血液検査で血糖に異常が見られた場合、糖負荷検査というものが行われます。これは妊娠糖尿病のリスクを評価するためです。

妊娠糖尿病とは、それまで糖代謝異常が見受けられなかった人が妊娠中に異常を起こしてしまう病気です。

妊娠糖尿病になると、お腹の中にいる赤ちゃんも高血糖となり、形態異常や肩甲難産、網膜症や腎症といった、さまざまな合併症が起こる可能性があります。

妊娠糖尿病が発覚した場合は食事制限や運動を行い、必要に応じて薬などの血糖降下薬を使用しながら、妊娠生活を続けてきます。医師の指導のもと十分な自己管理が必要です。

膣分泌物培養検査が行われる理由として産道感染と関連があるB群溶連菌(GBS)の有無を確認しています。さらには早産のリスクを評価するために子宮頸管長を測定しています。

妊娠初期は流産の兆候や胎児奇形をいち早く発見するための検査が中心的でしたが、安定期に入った頃からは早産の兆候や安全な出産を迎えるための検査が増えます。

この頃から母親学級や両親学級が開催されてきますので、妊娠中から出産後の育児に関して疑問がある方はこの場で解消するようにしておきましょう。

妊娠36週〜出産まで

臨月に入ると、お腹も大きくなります。この頃に再度血液検査を行い妊娠高高血圧症のリスクを評価します。妊娠高血圧症は約20人の妊婦に対して1人の割合で起こりうる病気です。

妊娠高血圧症になると早産のリスクが高まるだけでなく、妊婦や赤ちゃん双方に悪影響が起こる可能性があります。

他にも37週前後になると胎児心拍モニタリング(NST)を行い、胎児の心拍を確認しています。心拍数や状況によっては即入院となる可能性もあります。

さらに母親の身長が150cm未満の場合、赤ちゃんの頭が骨盤を通過できず経膣分娩が難しくなります。そういった場合には骨盤X線検査を行い、経膣分娩が可能か評価します。結果次第では帝王切開での出産となるでしょう。

妊婦検診でかかる費用

妊娠は病気でないとされ、妊婦検診費用も保険適応外となっています。検査費用は全額自己負担であることから、1回の妊婦検診につき約5000〜15000円かかるとされています。

一般的な通院回数が14回ですから、総額5〜15万と妊婦検診だけで大きな負担となっていました。

しかし日本も少子化対策の一環として原則14回までの妊婦検診の費用を負担するという政策を打ち出しました。これによって自治体ごとに妊婦検診費用の補助が出るようになったのです。

ただしすべての自治体で無料化されたわけではありません。助成内容や助成額は自治体ごとに異なりますし、受診している病院によって消費税分は徴収している所もあります。お住まいの自治体のホームページや母子健康課などで助成制度を確認するようにしてください。

また妊婦検診費用も何もせずに無料というわけではありません。母子手帳を受け取ると妊婦健康診査受診票という補助券が14回分渡されます。妊婦検診毎に必要な場所を記入して病院の窓口に提出すると、妊婦検診の費用が助成される形となります。

里帰り出産や妊娠期間中に引っ越す予定の方

ここで注意が必要なのが都道府県をまたいだ受診の場合です。この場合、もらっている補助券が使えないことがあります。

例えば、お住まいが東京で里帰り出産のために地方に帰る場合です。補助券は各自治体が交付しているもののため、居住地外での受診時に使うことはできません。

ただしこの場合は償還払いという制度があります。償還払いによって自己負担した分の金額は後に返ってきます。妊婦検診時の領収書や使用しなかった分の妊婦健康診査受診票が必要のため捨てないように保管しておきましょう。

詳しい手続き内容や必要書類はお住いの自治体ホームページを確認してみてください。

他にも医療費控除という制度もあります。妊婦検診や出産時の入院費用など、妊婦検診にかかった費用は基本的に医療費控除の対象となりますので、申請を考えている方は領収証または明細書を捨てずに取っておいてください。

まとめ

妊婦検診の回数や検査内容、費用について解説してきました。いかがでしたでしょうか。

妊婦はお腹の中に宿った命を、自分自身の身を削って育てています。定期的に妊婦検診にかかることで、妊婦もしくは胎児の異常の発見にも繋がります。

妊婦検診以外でも出血や腹痛、お腹の張りなど、少しでも変だなと感じることがあれば、すぐに病院に連絡し受診しましょう。母子ともに健康な状態で出産を迎えるためにも、妊婦検診に関して正しい理解をしていただけますと幸いです。

安心して出産するための新型出生前診断(NIPT)という選択肢

■妊娠中のリスク管理には出生前診断が有効です

妊娠すると心身が変化をはじめ、妊婦さんとお腹の赤ちゃんは様々な要因から病気になるリスクが高くなります。出生前診断は妊娠管理の上で有益な情報源となります。

胎児に異常が見受けられる場合には早期に準備ができますし、流産しやすいなどの特徴が見られる場合は個別の対応をすることが可能になります。
早期の発見には、出生前診断の中でも採血のみで高精度の検査が可能なNIPT(新型出生前診断)がおすすめです。

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