出生前診断(出生前検査、出生前遺伝学的検査)は、妊娠中に胎児の先天性異常、とりわけ染色体異常が原因の疾患を確認する検査です。
出産を控え、妊婦さんの関心事は、子供が無事に育っているか、元気に生まれてくれるかといった期待と不安が入り混じったものになると思います。
アメリカやデンマークなどをはじめとする海外では、出生前診断はすでに広く普及しており、病気、障害、だけでなく男の子か女の子かもわかる検査があります。
しかし日本の出生前診断では、一部の出生前診断では性別判定ができるものの、医師が教えるべきではないと判断しているものもあります。
このコラムでは「出生前診断とは検査何か」「性別判定ができる検査はあるのか」をご説明します。
ぜひ最後までご覧ください。
出生前診断とは
冒頭でもお伝えした通り、出生前診断(出生前検査、出生前遺伝学的検査)とは妊娠中に胎児の先天異常を確認する検査です。
妊婦健診における超音波検査なども、出生前診断に含まれますが、多くの場合は先天性疾患の中でも、染色体異常の有無を確認する検査のことを指します。
出生前診断には、確定診断と非確定診断の2種類がありますが、まずはスクリーニング検査として、非確定診断を受けることが一般的です。
年齢が高くなるほど、染色体異常の発生率は高まります。特に高齢出産と定義されている35歳以上は、急激に発生率が高まります。
出生前診断でわかること
染色体には、母親の遺伝子情報と父親の遺伝子情報が半分ずつ含まれており、通常2本1対で存在します。
染色体異常とは、染色体の本数や、構造的異常が起こることを指します。
染色体異常は主に21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー(エドワーズ症候群)、13トリソミー(パトー症候群)などがあり、これら3つの異常だけで、染色体異常全体の約7割を占めます。
事前に検査を受けておくことで、安心して出産まで過ごすことができたり、先天異常のある子どもを迎える準備ができます。
出生前診断の検査方法によって、検査結果が確率で表示されたり、陽性または陰性で表示されたり、それぞれの検査は違ったメリットとデメリットを持っています。
出生前診断の種類については、以前コラムで詳しくご説明していますので、興味のある方は合わせてご覧ください。
出生前診断のメリットとデメリット|あなたは出生前診断を受ける?性別がわかる出生前診断
性別は、性染色体と呼ばれる染色体の形によって決まります。XYであれば男の子、XXであれば女の子です。
通常、性別は染色体の形、または生殖器の形から判定しており、一部の出生前診断でも検査することが可能です。
この章では、性別判定ができる出生前診断をお教えします。
①羊水検査
羊水検査とは、赤ちゃんの周りを満たしている羊水を利用する出生前診断です。
赤ちゃんはお母さんの胎内で、羊水を飲んだり、おしっこをすることで、生まれた時すぐ順応できるよう、準備をしています。
そのため、羊水中には胎児細胞が含まれているので、染色体異常、および性別をほぼ100%の確率で検査することができます。
しかし、お腹に針を刺して羊水を採取するため、破水や流産などリスクのある侵襲的な検査です。
羊水量の兼ね合いで妊娠15週〜16週以降に検査が可能で、費用は約15万円が相場です。
②絨毛検査
絨毛検査とは、妊娠早期における胎盤の一部で、胎児細胞が含まれている部位です。
そのため、ほぼ100%の確率で染色体異常や性別を検査することができます。
絨毛を採取する際、膣やお腹に針を刺すため、流産、破水などのリスクがある侵襲的な検査です。
絨毛を採取することができる妊娠11週〜14週まで検査が可能で、費用の相場は約15万円です。
③NIPT(新型出生前診断)
2011年にアメリカで発明され、日本では、2013年から臨床研究として検査を導入されました。
母体の血液中には、胎児由来のDNA断片が含まれています。
NIPTでは「次世代シーケンサー」という、遺伝情報を全て網羅的に検査できる機械を利用し、採血した母体の血液を検査することで、染色体異常と性別を99.9%検査することができます。
また、リスクは他の血液検査とほぼ同じであるため、ほとんどリスクがないと言えます。
しかし、陽性的中率は97.6%であるため、陽性の結果を受けとった100人のうち、約2人〜3人は実際には染色体異常がない可能性があります。
妊娠初期の妊娠10週以降に検査が可能で、費用は約20万円が相場です。
④超音波検査(胎児超音波検査)
人の耳には聞こえないほどの高音(超音波、エコー)をお腹や膣内から当て、跳ね返ってくる音を画像にすることで、胎児の形態異常を確認することができる検査です。
超音波検査は利用する機器や、検査を行う医師の技術によって、検査の精度や検査の項目は異なります。
中には、NTと呼ばれる首の後ろのむくみの厚さなど、複数のマーカーを測定することで、染色体異常の可能性を算出できる検査もあります。
性別は、妊婦健診でも行われている一般的な超音波検査でも検査可能です。
しかし、胎児の位置や体勢によっては生殖器が見えず、性別が確認できる時期は12週から22週とばらつきがあります。
出典元:
妊娠したら、いつ頃赤ちゃんの性別がわかるの?産婦人科医160人に聞きました | イシコメ
(2019年7月18日最終閲覧)
医師が性別を告知しない可能性もあります
上記の絨毛検査、羊水検査、NIPTなど胎児の染色体、またはDNAの検査ができるため、技術上は性別判定可能です。
しかし、検査を担当する医師の中には性別を教えてくれない医師もいます。
理由はさまざまで、NIPTの場合、日本産婦人科学会の方針で検査項目を21トリソミー18トリソミー、13トリソミーに限定していること、性別が原因で妊娠中絶をする方もいると考えていること、倫理的に問題があることなどです。
NIPTにおいては、無認可施設(日本産科婦人科学会の認定を受けていない施設)の場合、性別を教えてくれる施設もあります。
出生前診断を受け、性別を知りたい場合は、検査を受ける前に性別を教えてくれるか、担当医師に確認しておきましょう。
着床前に性別を知ることができる着床前診断
出生前診断以外にも、生まれてくる前に性別を知ることができる検査があります。
着床前診断では、体外受精を行う前に受精卵を検査することで、性別や染色体異常などを検査します。
こちらも、検査を行なっている機関によって性別を教えてくれる場合と、そうでない場がありますので、担当医師に性別を知ることができるか確認しておきましょう。
出典元:
“女の子が欲しい””染色体異常が心配””羊水検査が怖い”そんな悩みや不安を抱える方が知っておきたい着床前診断とは?産み分けについても解説! | 着床前診断(PGD/PGS)、性別判定(男女産み分け)等、海外の遺伝子検査を提供する株式会社CGL
(2019年7月18日最終閲覧)
出生前診断の目的は性別を知ることではなく染色体の異常を発見すること
出生前診断や着床前診断など、一部の医療機関では性別を教えてくれる機関もあることがわかりました。
出生前診断を受ける際に考慮すべき点は他にもたくさんあります。
それは陽性の結果を受け取った時の対応です。深く考えずに妊娠中絶を選んでしまうと、「安易な人工妊娠中絶に繋がる」「命の選別である」と批判する声もあります。
また、妊娠中絶を選択することで、精神的負担が大きく、うつ状態に陥ってしまうケースもあります。
もし、出生前診断を検討している段階で少しでも不安なことがあれば、一人で抱え込まず遺伝カウンセリングを受けたり、夫婦で話し合う時間を設けることが大切です。
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■NIPTに対する高い専門性
10,000件のカウンセリングを通して妊婦さん一人一人と向き合ってきた、出生前診断歴45年を超える産婦人科医かつ国際出生前診断学会の会員である医師が検査を担当します。
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