お腹の中の赤ちゃんが正常に育っているか、心配や不安に駆られることもありますよね。
そのように考える妊婦さんの中で注目されているのが、出生前診断です。
特に最近では、全出生前診断のうち、4分の1の妊婦さんがNIPT(新型出生前診断)を希望しています。
とはいえ、出生前診断は予約をしてから結果を受け取るまでに時間がかかります。
せっかく検査を受けることを検討していたのにも関わらず、週数の関係で検査が受けられない、という事態は避けたいところです。
このコラムでは「NIPTの検査時期」や「出生前診断の検査時期」についてご説明します。
検査時期が早いメリット
検査の時期が早いと、様々なメリットがあります。
例えば、染色体異常、出生前診断について理解を深めることができます。
先天異常は、どの染色体にどのような異常が起きるかで、頻度の高い合併症や、症状の程度などが異なります。
中には、染色体数が増えても、長く生きることができる疾患もあります。
早く検査を受けることで、赤ちゃんの治療方法など、詳細な情報を集めて迎える準備をすることができます。
また、話し合いの時間を多く設けることもできます。
陽性の結果を受け取った場合、今までに経験したことのない不安と心配に晒される中で、判断能力も著しく低下する可能性もあります。
病気について、十分に知らないまま、そして話し合いが少ない中で決断すると、納得できない選択肢を選ばなければならない可能性もあります。
NIPTとは
前述の通り、NIPT(新型出生前診断、母体血を用いた無侵襲的出生前遺伝学的検査)は出生前診断(出生前検査、出生前遺伝学的検査)の1種です。
母体血を採血し、胎児由来のDNA断片がどの染色体由来であるかを「次世代シークエンサー」と呼ばれる機械を用いて検出し、染色体異常を確認します。
最近開発された新しい検査で、日本では2013年に臨床研究として導入されました。
検査費用は約20万円で、自由診療になりますので、基本的には全額自費負担です。
NIPTの検査の対象疾患
NIPTでは、以下の3つの染色体異常を判定できます。
- 21トリソミー(ダウン症候群):通常2本存在する21番染色体が、重複し3本存在する異常
- 18トリソミー(エドワーズ症候群):通常2本存在する18番染色体が、重複し3本存在する異常
- 13トリソミー(パトー症候群):通常2本存在する13番染色体が、重複し3本存在する異常
基本的には構造異常(欠失や転座)などは検査の対象外になります。
しかし、一部の無認可施設では、上記の3つの染色体異常以外にも、全染色体の数的異常や、微小欠失症候群を検査できます。
NIPTの特徴
NIPTの特徴は大きく分けて3つあります。
1つ目は、採血のみで検査ができるため、従来の検査と比較してリスクがほとんどないことです。
2つ目は、精度が高いことです。検査精度は99.99%と、偽陰性(検査結果が「陰性」にも関わらず、実際には異常がないこと)がほとんどなく、陰性的中率が高い検査です。
また、検査結果は「陰性」または「陽性」で表示されるため、解釈によって差が生まれることはありません。
3つ目は、妊娠10週目から検査ができることです。
従来の検査では、リスクを抑えようとすると、検査精度が約80%と低い検査しか受けことができず、リスクのある羊水検査を受ける必要がありました。
上記の3点を全て組み合わせたNIPTは、羊水検査のようにリスクのある検査を回避する、スクリーニング検査として優秀な検査です。
検査を受ける条件
現在日本では、検査が適切に運用されるように、日本産科婦人科学会の指針が施行されています。
指針では以下の項目を主に制限しています。
- 検査を行う施設の制限
- 検査を受けることができる妊婦の制限
- 遺伝カウンセリングを最低2回実施する
検査施設は「認定施設」にのみ制限しています。
認定施設では、産婦人科専門医、小児科専門医がそれぞれ1名ずつ常駐し、最低でもどちらか一方が、臨床遺伝専門医であることが必要であるなど、さまざまな条件があります。
対象の妊婦さんは、高齢妊娠の方(35歳以上の妊婦さん)や、染色体異常の可能性を指摘されている方など、客観的に見て染色体異常の可能性が高い方々です。
遺伝カウンセリングは、検査説明と結果説明、合わせて最低2回必要になります。検査施設によっては、夫婦揃って受診する必要があります。
NIPTの検査時期と大まかな流れ
前述のように、NIPTは妊娠10週目から可能です。
しかし、採血の前に遺伝カウンセリングを受けることや、予約枠の関係で、10週に電話予約をしてもすぐに検査を受けることはできません。
また、NIPTは陽性的中率が低く偽陽性があるので、もし陽性の場合は、検査を確定させるために羊水検査が必要です。
さらに、検査結果を受け取る前に「どんな結果でも産む」と決めていても、決断が揺らぐこともあります。
この章では、中絶可能な22週までに羊水検査の結果を受け取るために「NIPTの検査の大まかな流れ」や「検査結果がいつ頃手元に届くか」などご紹介します。
認可施設で検査を実施する場合の検査スケジュール
例として、国立成育医療研究センターの検査の流れを確認していきましょう。
検査の流れは以下の通りです。
- かかりつけの医療機関に、予約の電話をしてもらうようにお願いしておく
- 1回目の遺伝カウンセリング
- 採血
- 2回目の遺伝カウンセリング受診時にNIPTの結果を受け取る:採血後、約2週間後に結果表示
- 羊水検査を受ける
- 羊水検査の結果を受け取る:検査後、約2週間で結果表示
- 妊娠中絶手術が可能な22週を迎える
特に気をつけるべきなのは、予約です。
認可施設では、遺伝カウンセリングを実施する必要があることや、そもそもの検査実施施設数が少ないことなどの関係で、予約を取ることが難しい状況です。
また、国立成育医療研究センターの場合、かかりつけの医療機関の方が電話をしなければ予約ができません。
また、通院中の方や、県内の病院に通院されている方など、特定の方を優先的に案内したり、検査を受ける人は該当の病院で分娩予定の方に限定している認可施設もあります。
出典元:
周産期遺伝外来 | 国立成育医療研究センター (2019年8月2日最終閲覧)
無認可施設の場合の検査スケジュール
無認可施設とは、日本産科婦人科学会の認可を受けていない医療機関のことです。
無認可施設は、日産婦の指針外で検査を運用しているため、年齢制限や遺伝カウンセリングの回数制限がありません。
奥野病院と八重洲セムクリニックの検査の流れは以下の通りです。
- 予約:24時間いつでも予約対応可能
- カウンセリング
- 採血:カウンセリングと採血は同日に行う
- NIPTの結果を受け取る:採血後約10日〜12日
- 羊水検査を受ける
- 羊水検査の結果を受け取る:検査後、約2週間で結果表示
- 妊娠中絶手術が可能な22週を迎える
認可施設との違いは、予約の方法、遺伝カウンセリングの有無、結果が出るまでのスピードです。
認可施設は、紹介状を持参するなど、何らかの方法で医療機関からの紹介が必要なケースが多いです。
しかし、無認可施設にはそのような条件はありません。
そのため、一回の来院で検査を受けることができます。
またWebから簡単に予約ができますし、奥野病院や八重洲セムクリニックの場合、最短3日後の予約を取ることができます。
一方で、一部の無認可施設では産婦人科ではない専門外の医師が採血を担当している場合もあります。実施施設によって異なるため、気になる方は直接電話やホームページから問い合わせてください。
ご予約される方はこちらのページからご予約ください。
出生前診断(NIPT)なら実績・専門性で選ばれる産婦人科クリニック|八重洲セムクリニック・奥野病院他の出生前診断の時期
NIPTは10週より検査が可能ですが、他の検査はどうでしょうか。
出生前診断の種類によって少しずつ検査の時期が異なります。
この章では、各出生前診断で検査の時期にどのような差があるのかご紹介します。
羊水検査(妊娠15週〜16週以降)
羊水検査とは、羊水中に含まれている胎児細胞を利用し、染色体異常の有無を判定する確定診断です。
お腹に針を刺して羊水を採取(羊水穿刺)することから、流産(約0.3%)、破水、出血などのリスクを伴う侵襲的検査です。
しかし、この時期の自然流産率と比べると、そこまで高い流産率ではないと指摘する専門家もいます。
十分な羊水量を確保するため、妊娠15週〜16週以降に検査を行います。
絨毛検査(妊娠11週〜13週)
絨毛検査とは、絨毛組織に含まれる胎児細胞を利用して、染色体異常の有無を判定する確定診断です。
絨毛は妊娠早期に見られる胎盤の一部ですので、妊娠11週〜13週ごろに検査が行われます。
母体血清マーカー検査(妊娠15週〜18週)
母体血清マーカーテストとは、母体の血液中に含まれている4つの成分を利用して、染色体異常の可能性を確認する非確定診断です。
クアトロテストともいいます。
検査結果は「陰性」または「陽性」ではなく、確率で表示されるため、その解釈について事前に夫婦で話し合っておく必要があります。
検査に利用する成分の関係で、妊娠15週〜18週頃に検査を行います。
超音波検査(妊娠11週〜13週)
超音波検査とは、耳では聞き取れないほどの高音超音波を利用して、胎児の形態的異常を確認する非確定診断です。
妊婦健診で行われる超音波検査とは異なり、NTと呼ばれる首の後ろのむくみなど、測定するために技術が必要な検査です。
妊娠週数に応じて、妊娠中期超音波検査、妊娠後期超音波検査がありますが、形態的異常から、染色体異常の可能性を検査するのに適しているのは妊娠初期の11週〜13週に行われる超音波検査です。
コンバインド検査(妊娠11週〜13週)
コンバインド検査とは、2種の成分を用いた母体血清マーカー検査と、超音波検査を併用した検査です。
超音波検査を行う関係で、妊娠初期の11週〜13週で検査ができます。
まとめ
NIPTは検査の時期が早く、妊娠10週目から検査ができますが、予約をするためにはさらに早くから動き出す必要があるとわかりました。
もし、NIPT受検を検討されている場合はお早めに動き出すことをおすすめします。
また、何か不安なことや心配なことがあれば、産婦人科医に相談してみることも1つの手です。
東京・大阪でNIPTを受診するならこちら
産婦人科医のNIPT予約センター(八重洲セムクリニック[東京]・奥野NIPTセンター[大阪 奥野病院横])は、総検査数10,000件を超える豊富な検査実績と充実したアフターサポートにより多く方に選ばれています。
■NIPTの検査実績
2016年に日本で初めて無認可施設としてNIPTを提供し、日本国内の医療機関でNIPT総検査数10,000件を超える実績をもつ専門医療機関です。
■NIPTに対する高い専門性
10,000件のカウンセリングを通して妊婦さん一人一人と向き合ってきた、出生前診断歴45年を超える産婦人科医かつ国際出生前診断学会の会員である医師が検査を担当します。
■羊水検査が可能
陽性だった場合は羊水検査の実施まで責任を持って行います。他院で受ける必要はなく、その他紹介状やかかりつけ医への説明についてもご相談が可能です。
■検査会社の実績
累計検査数100,000件を超える実績を持つベリナタヘルス社へ検査を委託しています。「ベリナタ法」と呼ばれる独自のサンプリング技術によって、微小欠失まで調べることが可能です。
■国際医療輸送の実績
血液検体の輸送は、WHOが規定する国際基準に従い国際医療輸送の専門企業が担当します。検体紛失や取り違いは1度もありません。
まずは医師によるカウンセリングにてお気軽にご相談ください。
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