今回は、高齢出産の定義やその理由についてまとめました。さらに、高齢出産で起こり得るリスクやできるだけリスクを低くする方法も解説します。
高齢出産は何歳から?定義と日本の現状
母体や胎児への影響を踏まえ、高齢出産には「何歳から」という年齢の定義があります。日本では高齢出産の件数が増えており、出生数全体における割合も増加しています。高齢出産の定義
日本産婦人科学会では、35歳以上の初産を高齢出産としています。ただし、高齢出産の定義は時代とともに変化しています。1991年以前は、30歳以上が高齢出産とされていました。高齢出産は1980~1990年にかけて進み、2000年以降に全ての初産の1割を超えています。
なぜ高齢出産は35歳以上なのか
高齢出産が35歳以上と定義されているのは、母体年齢の上昇にともない出生率が低下し、流産が増加するためです。日本産婦人科医会によると、出生率は35歳頃より低下します。39歳頃からは急激に低くなり、出生率より流産率が上回ります。海外でも、高齢出産による流産のリスクが指摘されています。ヨーロッパでは、母体の年齢が35歳以上だと流産のリスクが2.8倍高く、カップルの年齢が40歳以上だと5.6倍高くなるというデータがあります。
年齢にともなう出生率の低下には、卵子の質が関係しています。35歳頃より卵子の質が低下し、異常な染色体の割合が増えます。そのため、正常な受精卵が育たず、妊娠のしにくさや流産につながります。
高齢出産は年々増加している
日本では、以前に比べて晩婚化・晩産化の進行はゆるやかになりました。しかし、平均初婚年齢の上昇にともない、高齢出産の割合が増えています。2018年平均初婚年齢は、夫が31.1歳、妻が29.4歳でした。1985年と比べて、夫は2.9歳、妻は3.9歳上昇しています。出生時の母親の平均年齢は、近年横ばいが続いていますが、第1子が30.7歳で1985年と比べて4.0歳高いという状況です。また、30歳代の出生率も上昇しています。
出生率のピークは、
1975年:25歳
1990年:28歳
2005年:30歳
と推移しており、徐々に晩産化が進んでいるといえます。出生に占める高齢出産の割合は、1990年代には数%でしたが2016年には28%を超え、4人に1人が高齢出産です。以上のデータから、日本では高齢出産が増えていることが分かります。
高齢出産のリスク
高齢出産によって、どのようなリスクがあるのか気になる方も多いと思います。母体と赤ちゃんのそれぞれに分けて解説します。母体のリスク
高齢出産では、妊娠中や出産時の異常が起きやすくなります。まず、流産率、死産率、妊産婦死亡率の増加です。卵子の質の低下により流産率は上昇し、40歳では40%、45歳では50%にまで達します。死産率も同様に、年齢とともに上昇します。25~29歳では2.4%ですが、35~39歳では3.8%、45歳以上になると8.2%という結果です。年齢別の妊産婦死亡率は、年齢とともに上昇し、40歳以降では20歳代前半の4.7倍というデータがあります。
次に、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病といった産科合併症も増えます。はっきりとした原因は分かっていませんが、高齢出産はリスクのひとつです。また、前置胎盤や切迫早産、常置胎盤早期剥離も増加します。これらが起こると赤ちゃんに十分な栄養がいかず、発育が不十分になる可能性があります。さらには、大量出血によってお母さんの命に危険がおよびます。このように、高齢出産は妊娠中や出産時のトラブルを引き起こしやすく、母体にとってハイリスクになります。
赤ちゃんのリスク
高齢出産によるさまざまなリスクは、母体に限った話しではありません。赤ちゃんにとっても、ハイリスクです。母体年齢が高くなるにつれて、病気や障害のある赤ちゃんが産まれるリスクが高くなります。具体的には、ダウン症や18トリソミーなどの染色体異常が増えます。特に、ダウン症は母体年齢の上昇にともない頻度が高くなることが知られており、母体年齢20歳では1/1,667、40歳では1/106にまで増加します。また、低出生体重児が産まれる確率も高くなります。低出生体重児とは、出生時の体重が2,500g未満の赤ちゃんのことです。医療が発達し、以前に比べれば低出生体重児の死亡率は低下しました。海外と比べても、日本の新生児死亡率は低いことで知られています。しかし、低出生体重児は発育や発達の遅れが出現しやすく、場合によっては長期的なサポートが必要になることもあります。
高齢出産のリスクをできるだけ低くする方法
ここまで高齢出産によるさまざまなリスクを紹介しました。できることなら、リスクを避けて出産にのぞみたいと思う方がほとんどでしょう。加齢が問題点である以上、高齢出産のリスクを完全に避けることはできません。しかし、できるだけリスクを低くする方法はあります。以下にまとめた3つのポイントに注意し、予防・早期発見に努めましょう。
適正体重を維持する
高齢出産のリスクである産科合併症は、肥満でも起こりやすくなります。特に、40歳以上で肥満だと頻度が高くなります。まずはご自身のBMI(ボディマス指数)を計算してみましょう。BMIとは、身長と体重のバランスから体格をチェックできる指標です。数値は、【体重(kg)】÷【身長(m)の2乗】で求められます。日本肥満学会の基準によると、普通体重の範囲は18.5以上25未満となっています。もし肥満であれば、可能な範囲で妊娠前までにBMIの標準範囲まで減量することをおすすめします。
体重管理には、バランスの良い食事と適度な運動が欠かせません。妊娠中も自分にとってちょうど良い体重を維持しましょう。食事では塩分にも注意が必要です。塩分の高い食事を続けると、妊娠高血圧症候群になる可能性があります。ただし、自己流のダイエットや食事制限には注意が必要です。妊婦健診の結果を見ながら、医師または助産師からのアドバイスを参考にしましょう。
葉酸の摂取
妊娠前から、葉酸の摂取が大切だという話しは聞いたことがあると思います。それは、葉酸が二分脊椎を代表とする神経管閉鎖不全の予防に役立つためです。その他にも、先天性心疾患や口唇口蓋裂といった先天性疾患が減少するといわれています。服用期間の目安は、妊娠する3か月前~妊娠14週あたりまでです。葉酸というとサプリメントをイメージしますが、食品から摂取することもできます。特に多く含まれているのは、芽キャベツやブロッコリーです。普段の食事にぜひ取り入れてみてください。
出生前診断を受ける
高齢出産で胎児の状態に不安がある場合には、出生前診断を受けることもおすすめです。出生前診断そのものでリスクを回避できるわけではありませんが、胎児の病気や障害をあらかじめ知ることで心の準備ができます。出生前診断には、・コンバインド検査・羊水検査・新型出生前診断(NIPT)などがあります。なかでもNIPTは比較的新しい検査で注目を集めています。採血で行うので母体へのリスクが少なく、検査精度が高いというメリットがあります。一方でNIPTにはデメリットもあります。NIPTを受けたからといって、胎児に関するあらゆる異常が見つかるわけではありません。また確定診断ではないため、もしNIPTで陽性が出たとしても羊水検査を受ける必要があります。このようにNIPTにはメリット・デメリットがありますが、早い段階で胎児の状態が知れると安心できます。
ご夫婦でよく話し合い、理解を深めたうえで受けるかどうか決めましょう。
安心して出産するための新型出生前診断(NIPT)という選択肢
■妊娠中のリスク管理には出生前診断が有効です
妊娠すると心身が変化をはじめ、妊婦さんとお腹の赤ちゃんは様々な要因から病気になるリスクが高くなります。出生前診断は妊娠管理の上で有益な情報源となります。
胎児に異常が見受けられる場合には早期に準備ができますし、流産しやすいなどの特徴が見られる場合は個別の対応をすることが可能になります。
早期の発見には、出生前診断の中でも採血のみで高精度の検査が可能なNIPT(新型出生前診断)がおすすめです。
■八重洲セムクリニック(東京)・奥野NIPTセンター(大阪 奥野病院横)のNIPTはこちら(新型出生前診断)
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