絨毛検査とは妊娠早期に行われる出生前診断のひとつです。
胎盤の一部である絨毛を採取して調べることで、胎児の染色体異常や遺伝子疾患が見られるかどうかを診断します。
胎児の染色体異常をほぼ確実に見つけることができ、新型出生前診断を受けた後の確定診断としても受けられています。
しかし低確率ながら流産リスクもあるため、詳細を把握し、納得してから受ける必要がある検査ともいえるでしょう。
今回はこの絨毛検査について解説していきます。
絨毛検査とは?
絨毛検査とは、胎児に染色体の異常がないか、母体の絨毛を採取して調べる検査のことです。
ここで採取される「絨毛」とは母体と胎児を結んでいる胎盤の一部であり、赤ちゃんとお母さんの間で栄養分を送り合うために必要不可欠といわれています。
絨毛検査は胎児の染色体異常、遺伝子異常をほぼ100%の確率で発見でき、ダウン症も発見できる出生前検査です。
絨毛検査に要する時間は10秒から15秒程度で、検査後20分ほど安静に過ごせばそのまま帰宅することができ、結果は約2週間後に分かります。
絨毛検査の検査方法は?
腹部から絨毛を採取する場合(経腹法)
胎盤が子宮の前側や底部に付着している場合は経腹法を行います。
エコーで胎盤の位置を確認しながら、お腹の上から針を刺して胎盤の絨毛細胞を採取する方法です。
検査は仰向けの状態で行われ、腹部の皮膚に局所麻酔をします。
人によっては、麻酔をしても多少の痛みを感じる場合がありますが、時間の経過とともに落ち着いていくことがほとんどです。
採取した細胞に検査上の問題がないことを確認したら、細胞の採取は完了です。
膣から絨毛を採取する場合(経膣法)
胎盤が子宮の後側や子宮頸部付近の前壁に付着している場合は経膣法を行います。
エコーで胎児や胎盤の位置を確認しながら、膣から鉗子やカテーテルを挿入して、胎盤の絨毛細胞を採取する方法です。
カテーテルは内側の直径が大きいため、一般的に経腹法より経膣法の方が多くの絨毛細胞を採取することができると言われており麻酔は行いません。
検査後に少量の出血がみられ、1~2日続く場合もあります。
採取した細胞に検査上の問題がないことを確認したら、細胞の採取は完了です。
絨毛検査が受けられる時期は?
絨毛検査が受けられる妊娠週数は10~14週前後とされ、胎児の体の基盤が作られる器官形成期の妊娠8~9週以前の絨毛検査は避けるべきというのが一般的です。
一方で妊娠週数が進み過ぎるのも問題であり、胎盤が完成する妊娠15週頃には絨絨毛を採取することが難しくなります。
そのため絨毛検査が受けられる時期を妊娠10~14週前後とする医療機関が多いようです。
絨毛検査の費用は?
絨毛検査が行われている国内の医療機関は限られており、検査の費用は医療機関にもよりますが10〜20万円前後のところが多いようです。
また絨毛検査前後の遺伝カウンセリングも必要となり、その費用もかかってきます。
絨毛検査の注意点とは?
受検には条件がある
絨毛検査を受けるには母体に幾らかの負担を伴うため、以下の条件を満たしている必要があります。
・夫婦両方もしくは一方に染色体異常がある
・染色体異常のある子供を妊娠、出産した経験がある
・高齢での妊娠である
・夫婦両方もしくは一方が重い遺伝病を持っている
・何らかの理由で胎児が重い病気を患う可能性がある
実施している医療機関が限られている
絨毛を採取するには、高い技術が必要になります。羊水検査に比べて、実施している医療機関が限られている点に注意しましょう。
すべての先天異常の有無がわかるわけではない
絨毛検査では、染色体の微小欠失や重複など、わずかな異常がわからない場合があります。
また検査で調べられる染色体疾患は、先天性疾患のなかの1/4程度です。
すべての先天異常が見つかるわけではないことを心得ておきましょう。
流産リスクがある
絨毛検査での流産リスクは約1%存在します。絨毛検査はカテーテルを挿入する検査でもあるため、流産が起こる可能性は絶対にないとは言いきれないでしょう。
また、稀ですが絨毛検査後には出血や破水を引き起こすケースもあり、感染症に注意する必要があります。
モザイクが出る可能性がある
絨毛検査の中には低い確率ではあるものの、モザイクという胎児の染色体が正常か異常か分からない結果が出ることがあります。これは採取した絨毛に含まれる細胞が胎児の細胞ではなく、胎盤の細胞のためだと考えられています。
中でも「胎盤限局性モザイク」というものが多く見られ、胎盤に異常はあるけれど胎児の染色体は正常である場合に出ることがあります。 どのみちモザイクという結果が出た際は、妊娠15週以降に羊水検査も受け、胎児の染色体異常を再び検査する必要があるでしょう。
絨毛検査まとめ
■検査方法
・経腹法(お腹に針を刺して絨毛を採取)
・経膣法(膣にカテーテルや鉗子を挿入し、絨毛を採取)
検査時に痛みをともなう場合がある。
■検査期間
妊娠10~14前後
(医療機関により多少前後します。)
■費用
10~20万円ほど
(医療機関により多少前後します。)
■主な検査対象の疾患
染色体疾患全般・遺伝子疾患・子宮内感染など
(すべての先天性疾患の有無が分かるわけではない)
■検査精度
ほぼ100%
■対象者
多くの場合以下の条件にあてはまる妊婦さんが対象になる。
・高齢出産(35歳以上)
・染色体異常のある子供を妊娠した経験がある場合
・夫婦のいずれかに染色体異常がある場合
・超音波検査で異常がみられた場合
・新型出生前診断(NIPT)などの非確定検査で陽性が出た場合
■流産・死産のリスク
約1%(1/100程度)
最後に
絨毛検査は検診の超音波検査で胎児に異常が見られる場合や、NIPTの結果が陽性である場合など、特定の遺伝子疾患の診断などに行われる検査で、妊娠早期に受けられる染色体異常の有無がはっきり分かる確定検査です。
ただし高齢妊婦という理由だけでは検査は受けられないこと、基本的には胎児が出生後に重篤な障害を受ける可能性がある疾患に限られていること、すべての病気が分かるわけではないことなどを考慮して検査を受ける必要があります。
さらに検査を受けられる病院が少ないことからも施設選びなどを慎重に行う必要があるといえるでしょう。
絨毛検査は少なくともリスクのある出生前検査ですので、ご家族とよく話し合ってから受けるかどうか判断しましょう。
安心して出産するための新型出生前診断(NIPT)という選択肢
■妊娠中のリスク管理には出生前診断が有効です
妊娠すると心身が変化をはじめ、妊婦さんとお腹の赤ちゃんは様々な要因から病気になるリスクが高くなります。出生前診断は妊娠管理の上で有益な情報源となります。
胎児に異常が見受けられる場合には早期に準備ができますし、流産しやすいなどの特徴が見られる場合は個別の対応をすることが可能になります。
早期の発見には、出生前診断の中でも採血のみで高精度の検査が可能なNIPT(新型出生前診断)がおすすめです。
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