母体血清マーカーとは?特徴や新型出生前診断との違いなどを詳しく解説します!

出生前診断と一口にいってもさまざまな種類があり、検査できる時期や費用・検査方法などが異なります。
また精度にも大きく違いがあり、結果によっては追加検査が必要になることも少なくありません。

最近では新型出生前診断(NIPT)ではなく、「母体血清マーカー」という検査を受ける方が増えています。
同じ非確定検査ではありますが、この2つの検査にはどのような違いがあるのでしょうか。
今回は母体血清マーカーの特徴などを、新型出生前診断(NIPT)と比較しながら解説していきます。

母体血清マーカーとは

母体血清マーカーとは、出生前診断の1つです。

妊婦さんの血液を採取して、胎児の染色体や神経管に先天異常がないかを調べます。血液中の3種類の成分(AFP・非抱合型E3・hCG)を測定するトリプルマーカー検査、4種類の成分(AFP・非抱合型E3・hCG・インヒビンA)を測定するクアトロマーカー検査がありますが、現在はより精度が高いクアトロマーカー検査が主流です。

母体血清マーカーは、対象の疾患である可能性が高いかを示す非確定検査であり、検査結果は「1/500」といった形であらわされます。

対象の疾患にはそれぞれカットオフ値という基準となる確率が定められており、結果がカットオフ値よりも高いと、疾患がある可能性が高いと判断されます。

仮にカットオフ値より低かったとしても、あくまで疾患の可能性が低いということなので、
正確な診断をするためには羊水検査などの確定検査が必要です。

母体血清マーカーと新型出生前診断(NIPT)との違い

母体血清マーカーと新型出生前診断(NIPT)はどのような違いがあるのでしょうか。

新型出生前診断(NIPT)は、2013年より日本で導入された比較的新しい検査です。
妊婦さんへの負担がほとんどなく、検査精度が非常に高いことから近年受診者が増加しています。

母体血清マーカー 新型出生前診断(NIPT)
検査精度(21トリソミー) 80~85% 99.1%
受けられる時期 15~18週 10週~
検査方法 母体からの採血 母体からの採血
判明する病気や先天性疾患 ・21トリソミー
・18トリソミー
・神経管閉鎖不全症
・21トリソミー
・18トリソミー
・13トリソミー

どちらも、あくまで先天性疾患の可能性が高いかを示す非確定検査ではありますが、以上のような違いがあります。

ここからは、それぞれの違いについて解説していきます。

2つの検査精度は以下のように異なっています。

■母体血清マーカー:80~85%
■新型出生前診断(NIPT):99.1%

母体血清マーカーの検査精度は80~85%と比較的高い数値ではあるものの、偽陽性の確率も5%程度です。
また妊婦さんが高齢であるほど、陽性の確率が上がるという特徴があります。

対して新型出生前診断(NIPT)の検査精度は99.1%と非常に高い数値です。

妊婦さんの年齢が若いほど陽性的中率が下がってしまう傾向にありますが、陰性的中率はどの年代も99.99%であるため、結果が陰性だった場合はほとんど心配ないといえるでしょう。

2つの検査の特徴から考えると、母体血清マーカーでは精度にやや不安を感じるかもしれません。

とくに高齢出産の場合は陽性の確率が上がってしまうため、不安な方は新型出生前診断(NIPT)を受けることをおすすめします。

受けられる時期

検査を受けられる時期は以下のようになります。

■母体血清マーカー:15~18週
■新型出生前診断(NIPT):10週~

母体血清マーカーは妊娠から15週間経たないと受けられませんが、新型出生前診断(NIPT)は10週間経てば検査が可能です。

検査結果が陽性だった場合は、羊水検査を受けるか検討する必要があります。
羊水検査の結果を受けて今後の対応を決めることになりますが、非確定検査の結果が遅くなってしまうと診断を得る前に決断をしなくてはいけなくなるので、母体血清マーカーを検討している場合は妊娠から15週~16週の間に受けておくことをおすすめします。

対して新型出生前診断(NIPT)であれば早い時期から検査を受けることが可能です。検査後も、パートナーと話し合って決断する時間を十分に確保することができるでしょう。

検査方法

どちらを選んでも、検査方法には変わりがありません。

■両検査:母体からの採血

ほとんど負担がないため、安心して受けることができます。羊水検査・絨毛検査は流産・破水などのリスクがあるため、まずはリスクのない非確定検査の受診を検討しましょう。

判明する病気や先天性疾患

検査を受けることでわかる病気の種類は以下のようになります。

■母体血清マーカー:21トリソミー・18トリソミー・神経管閉鎖不全症
■新型出生前診断(NIPT):21トリソミー・18トリソミー・13トリソミー

母体血清マーカーは双胎妊娠の場合、18トリソミーは検査結果が出ません。また21トリソミーにおいても、単胎妊娠より検査精度が下がります。

新型出生前診断(NIPT)では双胎妊娠であっても検査が可能です。
一般的な認可施設では3つのトリソミーのみ対象ですが、病院によってはそのほかの染色体異常や微小欠失なども調べられます。

母体血清マーカーでわかる病気はどんな特徴がある?

先ほど紹介したとおり、母体血清マーカーでわかる病気は21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー(エドワーズ症候群)、神経管閉鎖不全症です。ここからは、上記の病気の特徴について説明していきます。

トリソミー(ダウン症候群)

21トリソミーは、21番目の染色体が1本多くなることによって発症します。染色体疾患のなかでもとくに多い病気で、発症確率は600~800人に1人です。

言葉や身体の発達がゆっくりで、顔立ちや身体つきに大きな特徴があります。
また心臓をはじめ、さまざまな合併症を患うことも多いですが、早期から定期的な受診・療育をすることで、発達の向上や合併症の早期発見・治療が可能です。

【関連記事設置:ダウン症(21トリソミー)の特徴とは?発症確率や原因など詳しく解説していきます】

18トリソミー(エドワーズ症候群)

18トリソミーは、18番目の染色体が1本多くなることによって発症します。
発症確率は3,500~8,500人に1人ですが、出生後も半数以上が生後1週間に命を落としてしまい、生後1年の生存率は10%未満です。手指の重なりや揺り椅子状の足底をはじめ、さまざまな身体的特徴がみられます。

ほとんどが心臓などに重度の疾患を抱えているだけでなく、多くの合併症を患うこともあり、流産・死産も多いです。お腹のなかにいるときから成長が遅く、出生後も重度の発達遅滞と機能障害がみられます。

【関連記事設置:18トリソミー(エドワーズ症候群)とは|発症確率や特徴、原因など徹底解説していきます】

神経管閉鎖不全症

妊娠初期に起こる先天疾患での1つで、脳や脊髄などの神経管の一部が塞がらないことで起こる病気です。神経管の閉鎖不全により脳・脊髄を損傷することでさまざまな機能障害が生じ、二分脊椎症・無脳症などを発症します。

二分脊椎症は歩行困難や排尿・排便障害・知的障害などがみられ、出生後手術が必要です。無脳症を発症した場合は、脳が正常に作られず頭蓋と大脳が欠損した状態となり、ほとんどが死産・流産となってしまいます。

神経管閉鎖不全症の予防として、妊娠初期に食事やサプリメントで葉酸の摂取が有効です。妊娠3ヶ月まで摂取を継続することで、リスクを75%軽減できるとされています。

母体血清マーカーの特徴を把握して検査を受けるようにしよう

今回は母体血清マーカーの概要や、検査を受ける際の注意点について解説しました。
検査を受けることによって、21トリソミーをはじめとするさまざまな病気の有無を知ることができます。新型出生前診断(NIPT)と異なる点が多いため、検査を受ける目的を明確にしてから申し込みましょう。

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