NIPT(新型出生前診断)で性別がわかる?性別検査を行う施設と行わない施設の違い

妊婦さん誰もが無事に元気な赤ちゃんが生まれてくることを願っています。

そのような中、出産前の胎児の状態を知ることができるNIPT(新型出生前診断)を受ける妊婦さんが増えています。

NIPTは妊婦さんや胎児に与えるリスクが小さく、高い精度でダウン症などの染色体異常を発見できる出生前診断として注目されています。そして検査を受ける医療機関によっては、性別判定も同時に行うことができる検査です。

ですが、NIPTを提供する施設によっては性別を教えてくれない場合もあったりと、「なぜ?」という疑問も多く頂きます。

今回は

  • NIPTでなぜ性別も分かるのか
  • 性別検査を行っている施設とそうでない施設の違いが知りたい

といった方へ向けてNIPTの性別判定について解説します。

NIPTとは何かについては「【医師監修】NIPT(新型出生前診断)とは?」で詳しく解説していますのでこちらもご確認ください。

NIPTで性別がわかる理由

NIPT(non-invasive prenatal genetic testing、新型出生前診断)とは、胎児が先天的な病気や障害を持っていないか確認する出生前診断のひとつです。

母体の血液中には胎児由来のDNA (cell-freeDNA)の断片が含まれており、採血した母体血を次世代シークエンサーという機械で遺伝情報を網羅的に解析し、胎児DNA断片の割合(fetal fraction)を検査します。

採血のみで検査できる、胎児由来のDNA断片を検査できて精度が高い、妊婦さんや胎児へのリスクを抑えることができるといった特徴を持っています。

実施する医療機関によってはNIPTを行うことで染色体の異常の他に、性別を知ることも可能です。

染色体には常染色体と性染色体がありますが、性染色体がXYの場合は男性、性染色体がXXの場合は女性となります。これらはNIPTで調べられる配列に含まれるため、判定することが可能なのです。

NIPTなら早期に性別判定が可能

一般的に、赤ちゃんの性別がわかるのは、妊娠14週ごろからと言われています。

早ければ妊娠12~13週ごろに分かる場合もありますが、NIPTの場合は妊娠10週目から検査で判定が可能です。

出生前診断の中でも早期に実施が可能で、性別の判定についても早期に判定できるのは一つのメリットと言えるでしょう。

NIPTによって性別や先天的な疾患を早期に判別出来ることは、生まれてくるまでの準備を行う上で非常に重要です。

各出生前診断の時期については「NIPTの検査時期はいつ頃?その他の出生前診断の時期もご紹介!」で詳しく解説していますのでこちらも是非ご確認ください。

注意点として、どの診断も性別の判定について100%はありません。NIPTは99%とほぼ確実に性別判定が可能な検査として知られていますが、それでも性別判定が異なる例も発生しています。検査結果を参考としつつ、妊婦健診のエコー検査などで経過観察をしながら赤ちゃんの成長を見守ることも大切となります。

性別判定を行っている施設と行っていない施設の違いとは

上述のように技術上、NIPTで性別判定は可能です。実際にアメリカなど海外では性別判定が行われています。

しかし日本では性別検査を行っている施設とそうでない施設があります。その違いは日本産科婦人科学会の認定施設かどうかです。

認可施設では性別判定を行わない

2013年に日本がNIPTを導入する際、日本産科婦人科学会は「母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査に関する指針」の範囲内で、NIPTを運用するように声をあげました。

指針を設置した理由は、NIPTは簡便な検査であるため、「妊婦が十分な理解を持たずに検査が行われる可能性があること」「検査結果の意義を誤認する可能性があること」「マススクリーニング検査として検査が拡大されてしまうこと」を懸念したためです。

指針内では、NIPTが実施される施設、対象になる妊婦さんを制限しています。

これが認可、無認可が分けられる理由です。

認可の条件には、産婦人科専門医と小児科専門医が常勤していること、また、どちらか一方が臨床遺伝専門医であること、遺伝外来を設置していることなどがあります。

このような要件を満たすことができる施設は限られているため実態としては、条件に当てはまらず検査を受けられない、検査を受けることができる施設が遠い、紹介状が必要、予約を取ることが難しいなどの理由から、約半数の妊婦さんが上記のような条件に当てはまらない、いわゆる「無認可施設」でNIPTを受けています。

認定施設のNIPTと比較すると年齢制限や来院回数などの制限がないため通院する負担も少なく、検査でも海外の会社を使用するため検査項目も豊富です。

さらに認定施設では基本的に常染色体の数の異常は3つのトリソミーのみが検査対象となり、性別判定を行うことができません。

ですが無認可施設の中には希望すれば1〜22番全ての染色体や性染色体異常の検査や性別判定を行うことも可能な施設があり、これが施設による違いを生んでいます。

まとめ:性別判定ができるNIPTは実施施設と未実施施設がある

NIPTは妊婦さんの採血から胎児の3つの染色体疾患の有無を調べたり、医療機関によっては常染色体や性染色体などの異常を調べたりすることができる出生前診断が行える検査です。

とくに性別判定は基本的に無認可施設のみで受検できる状況となっています。

無認可施設であっても施設選びをきちんとすることでしっかりとした医師の支援や遺伝カウンセリング、アフターサポートなどを受けることは可能ですので、検査前後に十分な時間をとってそうした支援が受けられる施設を選択することが重要です。

性別判定の検査であっても検査を受ける前に夫婦でよく話し合いお互い納得して検査が受けられるようにすることをおすすめします。

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