胎児に先天異常があるかどうかを調べる検査を、「出生前診断」や「出生前検査」といいます。(「出生前診断」の読み方は、「しゅっせいぜんしんだん」もしくは「しゅっしょうまえしんだん」です。)
出生前診断には、主に6つの方法があり、病院によってどの検査を実施しているかは違います。
そして、それぞれの方法に特徴があります。
- 「スクリーニング」は、幅広い妊婦さんに検査を行って、陽性の結果が出たらより詳しい検査をする、という趣旨の検査です。
- 「非確定的検査」は、確定診断にはならない検査、という意味です。
- 「確定的検査」は確定診断ができる検査、という意味です。
出生前診断を受ける割合は、2016年の時点で妊婦さんのおよそ7%です。
また、出生前診断を受ける方は増加傾向にあります。
ここからは、出生前診断の6つの方法について、特徴や検査の時期、対象疾患などをそれぞれ紹介します。
母体血清マーカー検査
血液検査で、胎児の染色体異常を検査できる「母体血清マーカー検査」を解説します。
母体血清マーカー検査の特徴
母体血清マーカー検査のうち主流なのは、「クワトロテスト」という名前の検査です。
「クワトロテスト」は、妊婦さんから採血して、血液検査の4項目を調べる検査です。
- AFP(α-フェトプロテイン)
- uE3(非抱合性エストリオール)
- hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)
- InhibinA(インヒビンA)
検査項目が1つ少ない「トリプルマーカー」と呼ばれる検査も母体血清マーカー検査の一種です。
しかし「トリプルマーカー」はダウン症候群の検出率がやや低いので、基本的には「クワトロテスト」を行います。
母体血清マーカー検査はスクリーニングのための検査
母体血清マーカー検査は、確定的検査を行うかどうか調べるためのスクリーニング検査です。
母体血清マーカー検査の方法と時期
通常の血液検査と同じように、妊婦さんから採血して検査します。
採血は、妊娠15~17週に行います。
母体血清マーカー検査の対象となる先天異常
ダウン症候群(21トリソミー)、18トリソミー、開放性神経管奇形(二分脊椎や無脳症)のスクリーニングができます。
胎児超音波検査
通常のエコー(超音波)検査よりも詳しく胎児の形態を調べる「胎児超音波検査」を解説します。
胎児超音波検査の特徴
画像として胎児の形態を見るという点では通常の超音波検査と同じ内容ですが、染色体異常と関連する所見(画像上の見た目)をチェックすることで、出生前診断として機能する検査です。
エコーで詳しく調べるので、「胎児精密超音波検査」と呼ぶこともあります。
出生前診断に用いる超音波検査の所見は、ガイドラインで決められており、代表的な所見としては、NT(後頸部の厚み)があります。
ほかに、心臓の異常所見なども合わせて判定します。
胎児超音波検査はスクリーニングのための検査
胎児超音波検査は、確定的検査を行うかどうか調べるためのスクリーニング検査です。
胎児超音波検査の方法と時期
通常のエコー(超音波)検査のように、エコーの機械で調べます。
出生前診断として妊娠初期に行う場合、妊娠11~13週に検査します。
また、胎児の発育が正常に進んでいるかチェックするために、妊娠中期に胎児超音波検査を行うこともあります。
胎児超音波検査の対象となる先天異常
胎児の形態異常がわかります。
さらに、ダウン症候群(21トリソミー)、18トリソミー、13トリソミーのスクリーニングができます。
コンバインド検査
血液検査と超音波(エコー)検査をどちらも行い、胎児の染色体異常を検査できる「コンバインド検査」を解説します。
コンバインド検査の特徴
血液検査の2項目(PAPP-A(妊娠関連血漿タンパク質)、hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン))と、胎児超音波検査によるNT測定の結果を、合わせて判定する方法です。
コンバインド検査は確定診断にはならない
「胎児超音波検査」単体よりも精度は高いですが、確定的検査ではありません。
コンバインド検査の方法と時期
通常の血液検査と同じ方法の採血と、エコー検査を順次行います。
どちらも、妊娠11週~13週に行います。
コンバインド検査の対象となる先天異常
ダウン症候群(21トリソミー)、18トリソミーのスクリーニングができます。
母体血胎児染色体検査(NIPT)
「新型出生前診断」とも呼ばれ、血液検査で胎児の染色体異常を検査できる「母体血胎児染色体検査(NIPT)」を解説します。
母体血胎児染色体検査(NIPT)の特徴
NIPTは、妊婦さんから採血して、血中に含まれている胎児の染色体の成分を調べる検査です。
対象となる疾患の検出率が、非常に高いことが特長です。
ダウン症候群(21トリソミー)と18トリソミーの感度は、99%以上。
「感度が99%以上」とは、胎児がその疾患を実際に持っている場合に、99%以上の確率で陽性の結果が出るという意味です。
また、13トリソミーの感度は91%です。
妊婦さんがNIPTを受ける際に、病院によっては適応条件があるため注意が必要です。
母体血胎児染色体検査(NIPT)は確定診断にはならない
NIPTは、ほかの非確定的検査に比べて非常に精度の高い検査です。
そのため結果が陰性の場合は、対象となる3つの染色体疾患をほぼ否定できます(99.9%の確率で否定)
このことを、「陰性的中率が99.9%」といいます。
しかしNIPTの結果が陽性であっても診断にはならないため、確定診断のために確定的検査を行う必要があります。
母体血胎児染色体検査(NIPT)の方法と時期
通常の血液検査と同じように、妊婦さんから採血して検査します。
採血は、妊娠10週~15週ごろに行います。
母体血胎児染色体検査(NIPT)の対象となる先天異常
ダウン症候群(21トリソミー)、18トリソミー、13トリソミーを検出できます。
また、「全染色体検査」や「微小欠失」という検査項目を追加することで、その他のさまざまな染色体異常も検出できます。
羊水検査
最も一般的な確定的検査の方法である「羊水検査」を解説します。
羊水検査の特徴
羊水を採取し、羊水に混ざっている胎児の細胞の染色体を調べる検査です。
羊水検査は最も一般的な確定的検査
確定診断をするためには、通常、羊水検査を行います。
確定診断が必要な場合、すなわち胎児の染色体異常のリスクがある場合に行う検査です。
具体的には、- 非確定的検査で異常が指摘された方
- 高齢出産の方
- 過去に出産した子供に染色体異常があった方
- 胎児の両親のいずれかに染色体異常がある方
羊水検査の方法と時期
妊婦さんのおなかから針を刺して、直接羊水を採取します。
一般的には妊娠15~18週の間に行います。
羊水検査で診断できる先天異常
ダウン症候群(21トリソミー)、18トリソミー、13トリソミーのほか、さまざまな染色体異常がわかります。
また、羊水の成分から、開放性神経管奇形(二分脊椎や無脳症)のリスクもわかります。
羊水検査にはおよそ0.3%の流産のリスクがある
羊水検査には、流産や感染などのリスクがあるため、検査後に流産を予防する薬を飲みます。
羊水検査後に胎児が流産する確率は、0.3%と報告されています。
また、この確率には、自然流産したケース(たとえ羊水検査を受けなくても流産していたケース)も含まれるので、実際のリスクを正しく反映しているわけではありません。
絨毛検査
通常は羊水検査を行うので、行われることは少ない「絨毛検査」を解説します。
絨毛検査の特徴
妊婦さんの胎内にある「絨毛」という組織を採取して調べる検査で、羊水検査より早い時期に行えます。
絨毛検査の方法と時期
羊水検査と同じようにおなかから針を刺す方法と、腟側から検査する方法があります。
妊娠11週~14週に行います。
絨毛検査で診断できる先天異常
羊水検査と同様に、ダウン症候群(21トリソミー)、18トリソミー、13トリソミーのほか、さまざまな染色体異常がわかります。
まとめ
紹介した出生前診断の6つの方法をまとめると、以下の通りです。
「スクリーニング」や「非確定的検査」、「確定的検査」の違いを知って検査を受けましょう。
非確定的検査 | 確定的検査 | |||||
スクリーニング検査 | ー | |||||
検査方法 | 母体血清 マーカー検査 | 胎児超音波 検査 | コンバインド 検査 | 母体血胎児 染色体検査 (NIPT) | 羊水検査 | 絨毛検査 |
対象となる 先天異常 | ダウン症候群(21トリソミー) 18トリソミー 開放性神経管奇形 | ダウン症候群(21トリソミー) 18トリソミー 13トリソミー 形態異常 | ダウン症候群(21トリソミー) 18トリソミー | ダウン症候群(21トリソミー) 18トリソミー 13トリソミー (全染色体検査、微小欠失検査を追加すればその他の染色体異常も) | ダウン症候群(21トリソミー) 18トリソミー 13トリソミー さまざまな染色体異常 開放性神経管奇形 | ダウン症候群(21トリソミー) 18トリソミー 13トリソミー さまざまな染色体異常 |
受けたあとは? | 異常が指摘された場合、確定的検査(羊水検査)を受けます | ー |
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