今回は切迫流産についてお話ししたいと思います。
切迫流産は流産という言葉が入っていることもあり、怖いイメージを持ってしまう方もいらっしゃるかと思いますが、正しく症状を理解し、正しく対応することが大切です。
切迫流産とは
切迫流産とは、妊娠22週未満に流産のリスクが通常より高い状態であることを指します。流産と言う言葉が入っていますが、まだ妊娠が継続している状態です。
主な症状は性器出血で出血量が多く、腹痛を伴うほど流産に進行する可能性が高いと考えられています。一般的に少量の出血で、色が茶色や黒っぽいもので腹痛がなければ完全流産となる危険性は低めと考えられます。普段の生理くらいの出血がある場合や、強い腹痛を伴う場合に流産となる危険性が高めと考えられます。ただし、切迫流産全体では90%から95%程度が正常の妊娠に戻ると言われています。
切迫流産の原因
切迫流産の原因は様々ですが、妊娠12週未満で流産に至る場合は母体に原因があるわけではなく、胎児の染色体異常や遺伝性疾患など受精卵の異常とされています。染色体異常が原因の場合には妊娠12週までに流産となってしまうことが多くどのような対応をしても防げないことがほとんどです。
妊娠12週から22週にかけての切迫流産では胎児因子によるものが減り、絨毛膜下血腫による出血、感染による子宮内の炎上や子宮頸管無力症、子宮頸管ポリープなどからの出血など、子宮に問題が起きて切迫流産になることが増えます。母体因子の場合は、子宮収縮抑制剤の処方などの治療法があるため、この時期の出血は少量であってもすぐに産婦人科を受診しましょう。
治療法はあるの?
次に切迫流産の治療法についてです。
切迫流産から流産への移行を確実に防ぐ療法は今のところはないのが現状です。基本的には安静にして経過観察し状態に応じて薬物療法が行われます。経過観察といっても入院、自宅安静、生活を変えずに様子見など、切迫流産の安静度は症状によって異なります。頻繁な出血や下腹部痛があり、点滴などの治療が必要な場合や主に子宮筋腫などの病気があり、継続的な治療が必要な場合には入院が必要となります。
あくまで目安ではありますが、出血の有無や色は安静度の指標の1つになると言われています。赤色の出血はトイレに行く以外は安静となります。褐色の出血は自宅安静となり、家事は立ち仕事は減らしましょう。シャワーは浴びて大丈夫です。出血がほぼない場合は、激しい運動はNGですが、外出や軽作業は大丈夫です。
切迫流産だと診断されたらどうすればいい?
切迫流産と診断されたら具体的な生活上の注意点などを医師に確認しましょう。切迫流産で自宅安静と指示された場合、医師に診断書を書いてもらい、仕事はお休みしてください。自宅ではトイレや着替えなど自分の身の周りのことをする以外はなるべく横になりましょう。
上のお子さんがいる場合は、実家や親戚に預けたり、ベビーシッターにお願いするなどして、少しでも育児の負担を軽くすることが大切です。症状が軽い場合、軽めの家事であれば許可が出る事はありますが、立ち仕事や重いものを持つことは避けましょう。パートナーや家族の助けを借りて、できる限り静かに過ごすことを心がけましょう。わからないことや不安なことがあった場合は、医師に質問し、少しでも不安を払拭し、心健やかに妊娠期を過ごしてくださいね。