今回は高齢出産についてお話したいと思います。
高齢出産とは一般的に、初産婦では35歳以上、経産婦では40歳以上のことをさします。女性の社会進出が進んだことや晩婚化などから、初産の平均年齢は年々高くなっています。
厚生労働省の人口動態統計によると、35歳以上の出産はおよそ29%と、3・4人に1人は高齢出産であるという結果です。このことからも、高齢出産が増えてきていることが分かるかと思います。
高齢出産によるリスク
次に、高齢出産によるリスクについてお話したいと思います。
■流産・早産
1つ目が流産や早産です。
流産は高年齢に限らず、およそ15%の頻度で起こると言われ、決して珍しいことではありません。しかし、女性の年齢が上がるほど流産する確率は高くなります。妊娠初期の流産の原因で最も多いのは、お腹の赤ちゃんの染色体の異常です。
卵子は、本人が生まれた時から卵巣に保管されていますが、加齢と共に老化し、染色体異常が起きやすくなります。早産は、妊娠22週から妊娠36週までの出産のことを指します。妊娠37週以降が正期産となり、それより前に赤ちゃんが産まれると体重が軽かったり、医療的なケアが必要になったりするケースがあります。
高年齢になるにつれて、子宮筋腫など婦人科の病気のほか、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病または肥満などによる合併症が増えるため、お腹の赤ちゃんが機能不全などに陥り、早く生まれる確率が高くなると考えられます。
■ダウン症
2つ目はダウン症です。
高齢出産では、ダウン症候群などの先天性の異常が増えるのではないかと気になる方も多いかもしれません。人間の細胞の中には46本の染色体がありますが、染色体の数や構造に異常があることを染色体異常といい、染色体が一本多い状態で生まれるのがダウン症候群です。
妊婦さんが高年齢化するとダウン症候群時の出生率が増えると考えられていますが、出生数の推定値によると、高年妊娠率が年々上がっているにもかかわらず、ダウン症候群時の出生数は横ばいだそうです。これは出生前診断の普及により均等が保たれているのではと結論づけられています。
出生前診断とは胎児の状態を検査するもので、羊水検査や絨毛検査、超音波検査、母体血清マーカー検査、コンバインド検査、新型出生前診断等があります。体への負担が少ない血液検査ができるようになった一方、検査の意義や検査結果の解釈について充分に理解しないまま検査を受けることが懸念されています。
■難産・帝王切開
3つ目は、難産や帝王切開になる可能性です。
高年齢になると、出産時の赤ちゃんの通り道である産道や子宮口の柔軟性が衰えて硬くなってしまうため、難産になりやすいと言われます。そのため、帝王切開になる確率が上がります。
また、経腟分娩を予定していたけれどお産に時間がかかるなどで帝王切開に切り替わることもあるそうです。胎盤が子宮口を塞ぐような場所に位置してしまう前置胎盤も高年齢で起きやすいとされ、その場合は帝王切開が選択されます。
リスクを減らすために気をつけるべきこと
次に、高齢出産によるリスクを減らすために気をつけるべきことについてお話したいと思います。
■葉酸の摂取
まず1つ目は、妊娠前から葉酸を摂取することです。
妊娠初期は胎児の細胞が盛んに増殖しますが、葉酸が不足すると胎児の神経管閉鎖障害の発症リスクが高まるとされています。厚生労働省は、妊娠を希望する女性に食事での摂取に加えて、1日400マイクログラムのサプリメントでの葉酸摂取を推奨しています。
■妊婦健診で医師のサポートをしっかり受ける
2つ目は、妊婦健診で医師のサポートをしっかり受けることです。
妊婦さんと胎児の健康状態を確認するための定期的な検査を妊婦健診といいます。体調や生活について、医師や助産師に相談できます。健康な女性でも妊娠中に体調崩したり、病気になったりすることがあり、変化を早く見つけて適切な治療や指導を受けることが大切です。健診の費用は公的な補助があるので、妊娠が分かったら住んでいる自治体に届出を提出し、母子健康手帳を交付してもらいましょう。
■体重管理
3つ目は体重管理です。
肥満での妊娠出産は、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病のリスクが上がると共に、出産時のリスクも高めるので、太りすぎないように注意が必要です。また、極端に痩せているとお腹の赤ちゃんに十分な栄養が届かなくて発育に影響することがあります。今から健康的な食生活を心がけましょう。
栄養バランスを考えた食事を摂る、だらだらとお菓子を食べるのをやめるなど、すぐにできることもあります。妊娠出産だけでなく、その後に続く育児をして行く上でも、食事による体づくりは大切です。
高齢出産のメリット
次に、高齢出産のメリットについてお話したいと思います。高齢出産というとリスクに目が行きがちですが、メリットもあります。
ある程度キャリアを築いた後での妊娠出産では、時間が調整しやすい、仕事をほかの人に任せることができる、社内外のネットワークが構築されていてサポートを受けやすい、先に出産した同期や友人から話を聞くことができるといった利点があります。
また、若い時よりも経済的に安定していることも大きなメリットで、産後、自分の体の回復のためにお金を使うことができたという人もいます。さまざまな人生経験を重ねているので、物事をおおらかに受け取れ、落ち着いて子供に対応できたという精神面でのメリットを挙げる人も多いようです。