産婦人科・内科 八重洲セムクリニック(東京駅5分)|新型出生前診断(NIPT)・IPT療法

ほぼ100%帝王切開になる、【前置胎盤】ってご存知ですか?

今回は、前置胎盤についてお話したいと思います。そもそも胎盤とは何か、皆さんご存知でしょうか。

胎盤とは、着床後にお母さんの子宮内にできる円盤状の期間です。正常な場合、子宮上部に張り付いて赤ちゃんと共に成長します。正期産を迎える頃には、直径が20cmから30cm、厚さは2cmから3cm、重さは500gから600g程度になり、産院によっては出産後に排出した胎盤を見せてくれるところもあるようです。

産院によっては、胎盤食と言って胎盤を食べることができるところもあります。出産前は胎盤食を希望したそうですが、いざ出産して胎盤を見たところ、レバーのような見た目で食欲が失せたようでキャンセルしたと言っていました。

胎盤の役割について

➀赤ちゃんの呼吸をサポート

お母さんの血液中から受け取った酸素を赤ちゃんに送り、お母さんの体から排出された二酸化炭素を受け取って、お母さんの血液に戻す役割を果たします。

②赤ちゃんの食事をサポート

お母さんの血液から、アミノ酸や脂肪をはじめとしたさまざまな栄養素を受け取り、赤ちゃんへ送ります。

③赤ちゃんの排泄をサポート

赤ちゃんの排泄をサポートします。赤ちゃんから排出される老廃物を受け取り、お母さんの血液に戻します。

④赤ちゃんを有害な物質から守る

赤ちゃんを有害な物質から守ってくれます。血液中の有害物質が赤ちゃんに届かないようにフィルターの役割をしてくれます。

⑤妊娠の継続をサポート

5つ目が妊娠の継続をサポートします。妊娠状態を維持するために女性ホルモンなどを分泌しています。

そんな赤ちゃんの生命線とも言える胎盤ですが、胎盤に関係する病気やトラブルは生死に関するものが多いです。胎盤のトラブルのひとつに前置胎盤というものがあります。前置胎盤とは、胎盤が正常より低い位置に付着してしまい、そのために胎盤が子宮の出口の一部または全部を覆っている状態です。

通常、経腟分娩では赤ちゃん➡胎盤の順番に出てきます。前置胎盤では胎盤が赤ちゃんよりも下にあり、胎盤➡赤ちゃんの順番で出てきてしまい、胎盤が出るときに大出血してしまいます。

また、胎盤が出た時点で赤ちゃんは胎盤からの栄養が途切れ、子宮内で呼吸できない状態となります。よって、前置胎盤の場合はほぼ100%帝王切開分娩となります。

前置胎盤の症状となりやすい人の特徴

前置胎盤は、痛みのない突然の出血「警告出血」が起こりやすくなります。また、子宮収縮や子宮口が開くことで胎盤の一部が剥がれてしまうと、大量出血や早産につながることもあります。

前置胎盤が起こる理由は明確になっていません。しかし、前置胎盤が起こる可能性が高くなるリスク要因としては、高齢出産や喫煙者、多産婦、双胎、以前に子宮の手術を受けた場合に前置胎盤が起こりやすくなると言われています。

その他にも、前置胎盤になりやすい人の特徴として、インスタント食品を過剰摂取している人もあげられるそうです。理由は、過剰摂取している人は低酸素状態になりやすく血液の流れが悪く、血管自体もろくなるからだと言われています。そうなると、胎盤が血管にしがみつこうとするため、癒着胎盤になる可能性が高くなります。妊娠中、食生活を見直したり、サプリで不足している栄養素を取り入れることも大切です。ご自身と赤ちゃんのためにもしっかり栄養を摂りましょう。

前置胎盤の対処法と発見方法

次に、前置胎盤の対処法についてお話します。対処法としては、前置胎盤の疑い、もしくは前置胎盤の確定診断を受けた場合には、安静にして子宮収縮を起こさないことが大切です。それでも子宮収縮が起こる場合には、子宮収縮抑制剤が処方される場合もあります。前置胎盤になると、自然分娩では大量出血や胎盤剥離による赤ちゃんへのリスクが高くなるため、37週までに予定帝王切開を行う場合が多いです。

前置胎盤の発見方法は定期健診のエコーで胎盤の位置を確認して行います。確定的な診断は難しく、胎盤や赤ちゃんの成長具合を経過観察しながら診断します。妊娠の早い時期に前置胎盤と診断されても、妊娠が進み子宮が大きくなると徐々に胎盤が上に上がり、最終的に前置胎盤でなくなる例もあります。なので、妊娠中期までの前置胎盤は過度に心配しなくても大丈夫だです。気になる症状があったら、すぐに医師に確認しましょう。