今回は、妊娠12週のときに知っておいていただきたい、この時期の妊婦さんに起こる身体の変化と、<妊娠12週の壁>という言葉についてお話します。
身体に起こる6つの変化
■体重の増加
この時期は、つわりが落ち着いてくることで食欲が増し、体重が増えやすくなります。徐々に胎盤が完成してくることで、胎児が母体を通じて栄養を摂取するようになるため、少しずつ食事の内容にも気をつけていくことが大切です。妊娠中にどれくらい体重が増えても良いかは、妊娠前のBMIによって異なるので、ご自身の体重で調べてみましょう。
■風邪っぽい症状の軽減
妊娠12週になると、胎盤が完成に近づき、徐々に胎盤からホルモンが分泌されるようになるため、ホルモンバランスが安定してきます。高めだった基礎体温が下がってくることにより、だるさや熱っぽさ等の症状が改善します。
■つわりの軽減
つわりの症状には個人差がありますが、8週にピークを迎え、妊娠12週から徐々に落ち着いてきます。ほとんどの方が、妊娠16週頃までには症状が収まります。つわりの不快感から解放されると、徐々にマタニティライフを楽しめるようになってきます。
■頻尿
妊娠12週は頻尿に悩む方が多いです。赤ちゃんが大きくなっていくために膀胱が圧迫され、頻尿の状態が続くことがあります。夜中に何度もトイレに行くことで寝不足になる方もいます。着脱が楽なワンピースは少しでも負担が軽減されるので、お勧めです。
■腰痛
妊娠12週になってくると子宮が大きくなることで腰の筋肉に負担がかかり、痛みが出やすくなります。ホルモンの影響によって妊娠中の関節が緩み、骨盤が開きやすくなるため、腰痛に悩む方が多いです。寝るときに、お腹の下などにクッションを挟んで横向きに寝てみるなど工夫するといいでしょう。
■下腹部痛とお腹の張り
妊娠初期に不安を感じる流産の兆候として、下腹部痛やお腹の張りといった症状があります。流産は妊娠11週までの早期流産と、妊娠12週から22週までの後期流産に分類され、起こる時期によって原因が異なります。特に妊娠初期に出血が起こっている場合は、絨毛膜下血腫を引き起こすことがあり、後期流産の原因となることがあります。
【妊娠12週の壁】という言葉について
次に、この時期によく耳にする妊娠12週の壁についてお話したいと思います。
妊娠しても残念ながらすべての胎児が元気に誕生できるわけではなく、流産に至るケースもあります。前述のとおり、医学的には妊娠12週を境に早期流産と後期流産に分類されており、流産の8割以上が妊娠12週未満に起きていると言われています。
そのため、医学的には妊娠12週の壁と言う言葉は無いものの、妊娠12週を過ぎると流産の割合が減少するということがインターネットの書き込みなどから広がり、妊娠12週の壁という言葉が使われるようになったようです。
妊娠12週を過ぎると、流産や切迫流産の原因として、絨毛膜羊膜炎など膣の細菌感染によるものが増えてきます。染色体異常や遺伝病の場合は、治療することが難しいと言われていますが、絨毛膜羊膜炎は適切な治療を行うことで流産を防げる可能性が出てきます。