産婦人科・内科 八重洲セムクリニック(東京駅5分)|新型出生前診断(NIPT)・IPT療法

妊娠9週の壁、という言葉を聞いたことはありますか?

今回は、妊娠9週のときに知っておいていただきたい、この時期の妊婦さんに起こる体調の変化と、この時期によく耳にする妊娠9週の壁についてご紹介させていただければと思います。

妊娠9週の赤ちゃんは、生殖器の発達がスタートします。性別が分かるのはもう少し先で、妊娠20週前後となります。早ければ超音波検査で妊娠14週頃から確認が可能なので、もう少ししたら赤ちゃんの性別が分かるママさんも出てきます。

それでは、妊娠9週のときに知っておいていただきたい、この時期の妊婦さんに起こる体調の変化と妊娠9週の壁についてお話したいと思います。

妊娠9週の妊婦さんに起こる身体の変化

■下腹部痛

まず1つ目は下腹部痛です。子宮がちょっとずつ大きくなるのに伴い、子宮の筋肉が引き伸ばされ、下腹部あたりにチクチクとしたわずかな痛みが出たり、お腹がなんとなく重たいような違和感を覚えたりすることがあります。

■腰痛

2つ目は腰痛です。ホルモンの作用で骨盤内の血流が滞りやすくなるので、腰がだるく感じる人もいます。

■便秘

ホルモンの影響に加え、子宮の圧迫も始まるため、腸の蠕動運動が低下して行く場合があり、妊娠して初めて便秘を経験したという人もいます。

■おりものの増加

4つ目はおりものの増加です。妊娠初期は、特に一時的におりものの量が増える傾向があるようです。

■バストの変化

5つ目はバストの変化です。乳腺が発達し脂肪が増えるため、この時期、バストが大きく重くなり敏感になります。また、ママの血液量が増えるため、血管の色が少し濃くなってきます。ホルモンの変化で、バストトップや乳輪が黒ずむこともあります。

妊娠9週の壁

次に、この時期によく耳にする妊娠9週の壁についてお話しようと思います。

妊娠9週の壁という言葉は、医学的な用語や概念ではありません。妊娠5週から7週では超音波で心拍が確認できたのに、妊娠9週前後の検査では心拍が確認できなくなるということが、いつしかさんたちの間で妊娠9週の壁といわれるようになりました。

妊娠9週の壁という言葉が生まれた背景には、現代の日本の医療事情が関係しています。昔は月経予定日を1ヶ月以上過ぎてからの妊娠判定で妊娠8週から9週あたりが初診でしたが、現在は市販の妊娠検査薬や超検査の性能が高くなるり、妊娠6週から7週あたりで受診し、心拍を確認できるようになりました。

妊娠7週から9週は流産率が最も高い時期と言われています。逆にそこを超えると流産率がかなり低下するため、妊娠を継続できるかどうかの第一関門ともいえます。また、妊娠初期に起こる流産の原因は、そのほとんどが受精卵の異常であり、染色体や遺伝子に異常があって、うまく細胞分裂ができなかったために偶発的に起こるものです。

受精卵の時点で運命が決まっており、いくら母親が注意していても流産を避けることはできません。もし流産の症状である腹痛や出血などがみられても、胎児心拍が確認されていれば流産にならず落ち着いていくこともあります。流産を止める治療はなく、腹痛や出血があっても妊娠12週未満は自宅で様子を見ましょうと言う病院もあります。ただ、不安に感じることもあるかと思いますので、病院に連絡して指示を仰ぐようにしましょう。

今回は、妊娠9週のときに知っておいていただきたい、この時期の妊婦さんに起こる体調の変化と妊娠9週の壁についてお話しさせていただきました。この時期、つわりのピークを迎える人もいます。つわりの症状や程度も人によって千差万別です。あまりにもつらい場合は、無理せず休んで担当医に相談してみましょう。