先日来院した受検者様からこんな質問をいただきました。
「妊娠前はネイルでオシャレをしていましたが、NGと聞いたのでやめました。やっぱりダメなのでしょうか?何が問題なのでしょうか?(34歳 東京在住)」
妊娠中のネイルやマニキュアは問題がありますか?
妊娠初期~中期なら問題はない?
定期妊婦検診では健康状態を判断するため、医師が素爪の状態をチェックします。
そのため、緊急時でなくても、その都度ネイルは落としておかなくてはいけません。
また、妊娠中期の6~7ヶ月頃からの検診は回数が増えていきますので、ネイルを落とす回数が増えるとともに爪や皮膚に負担がかかってしまう懸念があります。出産予定が早まることも想定し、できれば妊娠中期頃から素爪で過ごすようにしましょう。
出産時のネイルやマニキュアはダメ?
妊娠中のネイルやマニキュアは禁止されていませんが、出産間近や出産時はNGです。出産前でも、ママや赤ちゃんの緊急時、病院で診察をする際に素爪の色や状態を確認することがあるため注意が必要です。多くの処置では「血中酸素濃度」を指先で測ることがありますが、ネイルやマニキュアを行っているとその測定ができなくなることがあるのです。
「血中酸素濃度」とは、血液に含まれる酸素量を数値化し肺がしっかり機能して酸素を取り込めているかどうか調べるもの。指先の血流状態を測りますが、ネイルやマニキュアをしていると正確な数値を測定できないケースがあり、非常に危険です。
赤ちゃんへの影響はある?
科学物質でできているジェルタイプのネイルやエナメルのマニキュアは、実際に赤ちゃんに何か悪影響を与えるのでしょうか?
現状、ジェルネイルやマニキュア自体が赤ちゃんへ与える影響については科学的に証明されていません。しかし、なるべく体への刺激を与えることは控えたほうがよいでしょう。ネイルに限らず、一般的にはボトックスなどの美容注射、髪の染色など侵襲性(体に影響を与えること)が高いとされているものは赤ちゃんへの影響が明確に証明されていませんので、もしものことを考えると、やらないほうが安心です。
妊娠中のネイルの楽しみ方
妊娠中はすぐにオフできるものを選んで
妊娠前にジェルネイルやマニキュアは気分転換やオシャレアイテムの一つとしていいところもある反面、妊娠中には様々なデメリットも存在します。ネイルをどうしても楽しみたい方には、ネイルシールとネイルチップがおすすめです。どちらも爪にシールを貼り付けるだけなので自宅でリラックスをした状態で取り付けができ、簡単に取り外しが可能です。持続性はないものの、妊娠中でも気軽に取り入れられますのでお気に入りを探してみてはいかがでしょうか。
オシャレの前に気を付けて欲しいこと
ジェルネイルやマニキュア自体には問題はありませんが、施術中に舞うダストや揮発性の溶剤は体内に入り込む可能性あるので、できる限り吸い込まないように注意しましょう。
妊娠中はホルモンバランスが乱れ免疫力が低下しがち。手先の乾燥や肌質が変化するなど、肌トラブルが増える妊婦さんもいます。十分な保湿ケアが必要です。つわりが始まると匂いに敏感になる妊婦さんも多く、マニキュアや除光液の独特のニオイが不快に感じることがありますので換気には十分注意しましょう。
最後に
爪の色は健康状態を見るバロメーターです。妊婦健診では、顔色等とともに爪の状態も診察し、貧血や脱水のチェックなどを行うこともあります。健診間隔が短くなる妊娠中期からは、赤ちゃんと自らの健康の為にもネイルは控えた方が良いでしょう。