葉酸は生きていくのに必要不可欠な栄養素
基本は「食事」からの摂取
葉酸は実に様々な食物に含まれています。海苔などの海藻に多く含まれ、葉物野菜果物にも多く含まれており、妊婦に限らず人間が生きていく上では必要な栄養素です。
実は米国などいくつかの国では、葉酸の重要性が広く認識されており、シリアルやパンなどに必ず葉酸を添加するよう義務付けられているほど大事な栄養素なんですよ。
【参考例:食品100gあたりの含有量】
品目 | 含有量(100gあたり、単位μg) |
焼きのり | 1900 |
ほうれん草(生) | 210 |
ほうれん草(ゆで) | 110 |
モロヘイヤ(生) | 250 |
モロヘイヤ(ゆで) | 67 |
ブロッコリー(生) | 220 |
ブロッコリー(ゆで) | 120 |
枝豆 | 260 |
胎児の成長にはより多くの葉酸が必要
通常はバランスの良い食事から一日の必要量は摂取出来ますが、妊活~授乳期まではより多くの葉酸の摂取が必要になります。
厚生労働省からは1日あたり400µg~480μgの摂取量が妊婦に対して推奨されていますが中々一日に必要な摂取量を食べ物だけで摂るのは難しそうですね。
時期 | 成人推奨量(単位μg) | 付加量(単位μg) |
妊活中 | 240 | 400 |
妊娠初期 | 240 | 400 |
妊娠中期 | 240 | 240 |
妊娠後期 | 240 | 240 |
授乳期間 | 240 | 100 |
出典:厚生労働省. “日本人の食事摂取基準(2020 年版)” . 2019-12月.https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf
葉酸が果たす重要な役割
葉酸は水溶性のビタミンB群の一種で「造血ビタミン」と呼ばれるように赤血球を作り、妊娠中の貧血予防に効果的です。そして、胎児の成長にも大きく関係します。
もしも葉酸が不足すると・・・
葉酸不足は貧血を引き起こす
葉酸の摂取量が不足すると葉酸欠乏性貧血を引き起こします。昨今はライフスタイルの変化で瘦せ型の妊婦さんが増えていますが、痩せ過ぎは貧血のリスクを高め、胎児の成長に影響するだけではなく、分娩時のリスク(体力不足、出血)も高まります。
新しい細胞を作り出せない
新しい命を生み出すには膨大なエパワーが必要ですが、貧血の状態だとエネルギー不足で新しい細胞を作り出すことができません。その結果胎児の成長に悪影響を与えるのです。
妊娠初期は胎児の細胞増殖が盛んで葉酸はこの時のDNAの合成に必要です。そしてこの時期は神経管の形成期(神経管は脳および脊髄の基、神経板がくぼみ溝ができ、最終的に管状になります)のため、葉酸が不足すると「神経管閉鎖障害」(つまり神経管がきちんと管状に形成されない)によって様々な障害を引き起こすことが分かっています。
発生確率は0.06%(1万人あたり6人)程度で、脳が損傷を受けた場合は水頭症や学習障害、脊髄が損傷を受けた場合は日本脊髄症(腰骨が二つに割れて脊髄が飛び出す)などで歩行障害、閉尿、尿失禁、尿路感染症、筋力低下、麻痺、皮膚感覚の低下などの症状が現れます。
「いつから」接種するのがベストでしょうか
妊活中からの摂取を
お母さんの体に葉酸が「ストック」されることがとても大事です。神経管の形成期される時期までに間に合うよう、妊娠したい・妊活を始めるタイミング(妊娠1~3か月前)から摂取するといいでしょう。
サプリの活用は学会も推奨
妊活~授乳期に推奨される葉酸量は通常の成人の摂取量より多く、食事だけで賄うのは難しいでしょう。特に妊娠初期はつわりなどもあり葉酸に限らず栄養補給が困難ですのでサプリメントを活用しましょう。あまりサプリメントを勧めない日本産婦人科学会でも、葉酸の摂取についてはガイドラインにてサプリメントの活用を推奨しています。それだけ大事な栄養素ということですね。
単体よりも合わせ技
葉酸は単体で摂取するよりも総合ビタミン剤のように他の栄養と併せて摂取したほうが吸収率がいいことが知られています。
配合されている栄養素、接種タイプ(錠剤、チュアブルなど)などご自身に合うものを見つけて、是非早いうちからお母さんのベースをいい状態に整えてくださいね。