「先日の妊婦検診で”妊娠糖尿病”と言われてしまいました。 リスクについて教えてください!」(40歳 妊娠16週)
今回は、先日受診された患者様からいただいたご質問にお答えしたいと思います。
妊娠糖尿病のリスクについて【母体・胎児別】
母体(妊婦)さんのリスク
- 妊娠高血圧症候群の発症
- 網膜症や腎症の悪化
- 流産や早産
- 羊水過多
- 巨大児による難産
- 妊娠後の糖尿病継続の可能性
胎児のリスク
- 巨大児や心臓の肥大
- 低血糖、電解質の異常
- 多血症
- 黄疸
- 稀に先天奇形や胎児死亡
これらの合併症が必ず起こるというわけではありませんが、可能性があるということを知っておきましょう。
妊娠糖尿病になりやすい人の特徴
- 35歳以上
- 糖尿病の家族がいる
- 4000グラム以上の巨大児を出産したことがある
- 原因不明の流産や早産の経験が3回以上ある
- 原因不明の死産の経験がある
- 羊水過多傾向
- 妊娠高血圧症候群がある
妊娠前は異常がなくてもホルモン変化により発症することもある
妊娠糖尿病とは糖尿病ほどではない、軽い糖代謝異常のこと。
妊娠中に発見または発症します。
妊娠前は何も異常がなくても、妊娠後ホルモン分泌の変化により血糖値が上がってしまうことがあります。妊娠糖尿病は通常の糖尿病とは違い、出産が終わるとほとんどの場合正常に戻ります。
しかし、妊娠糖尿病になると母体や胎児に影響が出るリスクがあるため、注意が必要となってきます。
妊娠糖尿病の予防法について
最後に妊娠糖尿病の予防法についてご紹介します。
まず1つ目は妊婦検診を毎回受けることです。
妊娠糖尿病は症状がないことが多いので、自分では気づきにくいものです。
しかし妊婦さんの7%から9%は妊娠糖尿病と診断されるとも言われており、きちんと検査を受け妊娠管理をすることが大切です。
妊娠糖尿病は尿糖検査をもとに判断をします。
尿糖とはブドウ糖のことで、血液中に含まれる糖の量が多いと尿の中に漏れ出てきます。
尿中にブドウ糖が出ると血糖値が高い、つまり妊娠糖尿病が疑われます。
(ただし、正常な妊娠でも糖を血液内に保持する力が弱くなるので、食後すぐに検査をすると陽性になることがありますので注意しましょう。)
2つ目は食事の際、食べる順番に気を付けることです。
血糖値を下げる食事というのは難しいですが、食べる順番を変えるだけでも予防につながります。
最初に野菜、きのこ、海藻といったおかずを食べて、次にタンパク質のおかずを食べ、最後に炭水化物を食べる。
そうすることで血糖上昇が抑えられ、身体の血糖コントロールが改善されるためおすすめです。
今回は妊娠糖尿病についてお話ししました。
妊娠糖尿病と言われても、過度な心配は不要です。
最も重要なのは、発症のリスクを高める主な原因となる極端な体重増加や急激な体重増加を避けることです。
そのためにも偏った食事ではなく、栄養バランスの良い食事を心がけましょう。
妊娠糖尿病は妊娠中の心配な病気のひとつです。
正しい知識を持ち、心配事を減らし、マタニティーライフを快適なものにしていきましょう。
食事や生活習慣についてわからないことがあれば、検診時にアドバイスを聞くことも大切です。