産婦人科・内科 八重洲セムクリニック(東京駅5分)|新型出生前診断(NIPT)・IPT療法

麻しん(はしか)流行のニュースを見て不安です。妊娠中に注意できることはありますか?

「麻しん(はしか)が流行しているとニュースで見て不安を感じています。妊娠中に、注意することや予防法はありますか?」(神奈川県在住 40代)

今回は、カウンセリングでいただいた麻しん(はしか)の質問についてお答えします。
感染力の強さから心配も強くなりがちですが、できることを解説したいと思います。

 

麻しん(はしか)とは

  • 麻しんウィルスに感染することで発症する感染症
  • 38度以上の高熱とともに全身に赤い発疹があらわれます
  • 特効薬などはなく、有効な治療法が存在しない
  • 感染力が極めて強く、同じ部屋にいただけで感染するほど
  • 感染経路は空気(飛沫核)感染、飛沫感染、接触感染、胎内感染がある
  • 約3割が合併症(肺炎や脳炎、中耳炎)を起こすともされ、死亡することもある

【参考文献】

・厚生労働省 麻しんについて

・国立感染症研究所 麻しんとは

・国立感染症研究所 感染症情報センター 麻疹Q&A

 

妊婦さんがかかるとどうなるのか

妊娠中にかかると、免疫が下がっているため合併症等で重症化する可能性が高いという報告があり、合併症による死亡例もあります。

 

赤ちゃんへの影響は?

風しんと異なり先天的な奇形等の可能性は少ないとされています。
しかし、子宮収縮を起こして流産や早産となるケースが報告されています。

麻しんウィルスは胎盤を介して赤ちゃんに感染することがあります。
通常は軽症のことが多いようですが、出産時に死亡したケースもあるようです。

 

予防法

唯一の予防法はワクチンとなり、成人するまでに抗体を獲得すれば、およそ一生その効果が続くとされています。
ですが、妊娠中の摂取はできません。

麻しん(はしか)は感染力が強すぎるせいでマスクや手洗いでは予防が困難であり、積極的な接種が必要です。
とはいっても、マスクや手洗いが全く効果がないとは言えません。妊婦さんの時期は、他のウイルスや病原菌をもらわないようにマスクや手洗いをする習慣ができると良いでしょう。

麻しんウイ ルスはアルコールや界面活性剤入りの洗剤で不活化も可能です。
感染が考えられる場所には行かないこと、感染者の触ったものに触れたときにはアルコール消毒も有効であることを覚えておいていただければと思います。

妊婦さんでなければ曝露後72時間以内のワクチン接種、6日以内の免疫グロブリンの筋注で発症を予防できる場合もあります。
パートナーやご家族で麻しん(はしか)に感染した人と接触したことが早期に分かったら、かかりつけ医に相談しましょう。

しっかりと予防接種をしましょう

接種すべき方

現在では国内の麻しん抗体保有率は約9割となっておりますが、接種後約10年ほどでその効果が緩やかに低下することが知られています。
抗体検査で低い値が出た方や、接種歴が不明 or 幼少期に1回しか接種していない方は特に接種することをおすすめします。

特に1977年~1990年生まれの方は1回しか予防接種を受けていない年代となり、免疫が不十分になっている可能性があります。
パパがこの年代にあてはまっている場合は、感染のリスクを下げるためにも確認して必要に応じて摂取をしましょう。

先に述べた通り、麻しんウィルスは感染力が極めて強く、1人で約12人に感染させる力を持ちます(インフルエンザが約2人)。
ワクチンによって完全な抗体を持つ方を増やすことが流行予防には重要です。

なお、風しんの記事でも触れた通り、麻しんワクチンは毒性を低くした生ワクチンに分類されますので、妊婦さんは接種ができません
接種を検討される方は妊活の2か月前までに接種しておきましょう。

1人目の妊娠時、抗体検査で免疫がついていない場合は、出産が終わっておちついたら予防接種をおすすめします。
特に、2人目を考えていらっしゃる方は忘れずに接種するようにしましょう。

 

【参考文献】

・国立感染症研究所 麻疹Q&A

・こどもとおとなとのワクチンサイト 麻しん風しん混合 (MR) ワクチン

接種後に妊娠がわかった場合、赤ちゃんは大丈夫?

最近の接種はMRワクチン(風しん麻しん混合ワクチン)が用いられますが、万が一接種後に妊娠がわかったケースにおいて、国内外ともに、障害等の赤ちゃんへの影響は報告されていません。
心配の必要はないかと思いますが、ご不安な方はかかりつけ医の方に相談して胎児診断を受けてみるのもよいでしょう。

 

家族みんなで接種しましょう

感染症はパパや周りの方からうつるリスクも考慮する必要があります。
妊婦さんへの感染リスクを下げるために、パパや周りの方もワクチン接種を検討しましょう。
最近は妊娠を希望する方だけでなく、パートナーも対象に公費の助成が受けられることもありますので、お住まいの自治体のホームページをチェックしてみましょう!

【参考】各自治体の助成案内(東京23区 ※板橋区をのぞく)

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